業界研究

ドラッグストアへの転職を考える、あるいは業界動向を知るうえで、大手企業の売上や店舗数はぜひ知っておきたいところ。しかし、薬剤師又は登録販売者として勤務していても、他社の情報まで把握している人は少ないかもしれません。そこで、ドラッグストア大手について、店舗数と売上をランキング形式でご紹介します。ぜひ参考にご覧ください。
ドラッグストアの動向

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、さまざまな業界が苦境に立たされています。薬剤師又は登録販売者の働く職場でも影響を受けているケースが多いでしょう。そんななか、ドラッグストアは売上ランキングの上位企業が軒並み前年同期比で増収するなど、業界全体が好調です。
なぜドラッグストアの売上が増加しているのでしょうか。その要因の一つに、コロナ禍における衛生用品の需要増、また薬以外に扱っている生活用品や食品等の売上増加が挙げられます。いわゆる”巣ごもり需要”によって、業界全体の売上が伸びているのです。出店数を増やす企業も多いため、ドラッグストアでは薬剤師又は登録販売者のニーズも高まっています。
ドラッグストアの売上ランキング

日本チェーンドラッグストア協会の発表データによれば、2020年度における業界全体の総売上高は約8兆円363億円でした。その後、業界全体で右肩上がりに成長しています。このように業界全体が好調なドラッグストアですが、とくに大きな売上をあげているのはどの企業なのでしょうか。ここで売上上位10社をランキング形式でご紹介します。
※各社2021年度の売上(連結)を集計
1位:ウエルシアホールディングス

業界トップの売上なのが、ウエルシアHD。売上高は10,259億円にも及びます。同社は東京都千代田区に本社を構え、全国各地に調剤薬局を併設したドラッグストアチェーンを中心とする持ち株会社。イオングループに属しています。子会社の運営するドラッグストアはウエルシア薬局やハッピー・ドラッグ、ダッグス、金光薬品、よどやドラッグなど。ドラッグストア運営のほか、介護事業や海外事業にも取り組んでいます。
2位:ツルハホールディングス

ツルハHDは北海道札幌市に本社があり、売上高は9,157億円。ツルハドラッグや杏林堂、くすりのレデイ、くすりの福太郎などの各運営企業を傘下とする持ち株会社です。介護事業や通販事業なども手掛け、2022年にはフードデリバリーを展開するUber Eats Japan社と提携し、一部商品のデリバリーを行うなど事業を拡大しています。
3位:コスモス薬品

福岡県福岡市に本社を置くコスモス薬品は、売上高が7,554億円。店舗は九州が中心ですが、関西や四国、中国、関東地方にも展開しています。ON365やStandarDay、おいしい惣菜、アンテリージェEXなど独自のプライベートブランドも持ち、ホールディングス(持ち株会社)以外ではトップの売上です。
4位:サンドラッグ

サンドラッグは東京都府中市に本社があり、売上高は6,487億円です。ドラッグストア「サンドラッグ」を運営し、その他に調剤薬局も運営。店舗はグループ企業を含めて、全国44の都道府県へ展開しています。
5位:スギホールディングス

愛知県大府市に本社のあるスギホールディングスは、売上高が6,254億円です。スギ薬局のほか、障がい者雇用の促進に取り組むスギスマイル、そしてスギ訪問看護ステーションなど3つのブランドを展開。各運営企業の持ち株会社です。
6位:マツモトキヨシHD

テレビCM等でも良く見聞きする、マツモトキヨシを中心とした持ち株会社。売上高は5,569億円です。なお、2021年10月にマツモトキヨシHDとココカラファインが経営統合し、マツキヨココカラ&カンパニーが誕生しました。医薬品のみならず化粧品や食品、生活用品などのプライベートブランドに強みを持ちます。
7位:富士薬品

配置薬で有名な富士薬品は、SEIMSなどのドラッグストアを全国に展開。売上高は3,899億円です。なお、同社は他にも調剤や研究開発、医療用医薬品の開発など幅広い事業を展開しています。
8位:ココカラファイン

ドラッグストアのココカラファインを中心とした持ち株会社で、売上高は3,664億円です。なお、マツモトキヨシHDで解説したように、現在は経営統合によりマツキヨココカラ&カンパニーとなっています。
9位:クリエイトSDホールディングス

神奈川県横浜市に本社を置き、関東圏を中心に展開。ドラッグストア「クリエイト」や調剤薬局を手掛ける持ち株会社で、売上高は3,507億円です。そのほか、介護付有料法人ホームなど介護関連事業も展開しています。※2021年度の数字が発表され次第追記
10位:クスリのアオキホールディングス

石川県白山市に本社を構えるクスリのアオキホールディングスは、売上高が3,283億円。ドラッグストア「クスリのアオキ」は、北信越や北関東を中心に店舗展開しています。創業は明治2年で、業界内でも長い歴史を持つ企業です。
ドラッグストアの店舗数ランキング

続いて、店舗数の多いドラッグストアの上位8社をご紹介します。
※2022年3月31日時点
1位:マツキヨココカラ&カンパニー
店舗数トップは、3,328以上の店舗を展開するココカラ&カンパニー。経営統合によって、店舗数が大きく拡大しました。
2位:ウエルシアホールディングス
ウエルシアホールディングスは、複数ブランドの薬局を2,667店舗展開しています。
3位:ツルハホールディングス
ツルハホールディングスは、2,506店舗を展開しています。
4位:スギホールディングス
スギホールディングスは1,507店舗を展開しています。
5位:富士薬品
富士薬品はSEIMS等のドラッグストアを、グループ全店で1,372店舗展開しています。
6位:サンドラッグ
サンドラッグは全国44の都道府県において、1,281の店舗を展開しています。
7位:コスモス薬品
コスモス薬品は九州を中心に、1,247店舗を展開。なお、2010年に関西地区、2015年に中部地区、そして2019年に関東地区で初出店を果たしています。
8位:クスリのアオキホールディングス
クスリのアオキホールディングスは841の店舗数で、北信越や北関東を中心に展開しています。
9位:クリエイトSDホールディングス
クリエイトSDホールディングスは関東圏を中心に、659の店舗を展開しています。
10位:カワチ薬品
今回のランキングのうち、唯一、売上ランキングには登場しておらず、店舗数でランキング入りしたカワチ薬局。栃木県小山市に本社を構え、北関東や東北を中心とした17の県で355の店舗を展開しています。なお、ドラッグストアの中には、調剤併設型の店舗が132含まれます。
ドラッグストアで薬剤師に求められるもの

好調に推移するドラッグストア業界は、薬剤師又は登録販売者の勤務先として有力な選択肢の一つになるでしょう。ドラッグストアでは多くのお客さまと接し、ときに薬剤師又は登録販売者として相談対応も行うため、高いコミュニケーション能力が欠かせません。
また、薬剤師の場合、調剤併設型店舗では「かかりつけ薬局」を目指すドラッグストアが増えており、自身も「かかりつけ薬剤師」としての対応が求められることも多いでしょう。健康相談や在宅医療に対応することもあり、いわゆる店舗接客とは異なる心構えが求められます。場合によって24時間対応となるケースも考えられ、勤務体系も柔軟に調整できると、より重宝される存在となれるかもしれません。
【引用】ファルマラボ
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