登録販売者試験の主な3つの出題パターン

漢方薬と生薬に関する試験問題のパターンは大きく分けると以下の3つになります。
- 「拡張→収縮」など説明が真逆になっている
- そもそも「異なる」生薬や漢方薬の説明をしている。
- 年齢や期間など、数字が異なる
つまり、それぞれの生薬や漢方薬にしかない特徴をしっかり覚えることが得点力がアップに直結します。
※「説明しているものが異なる」という問題は全く別の漢方薬や生薬の説明をしているケースです。
- 漢方は実は日本生まれの日本育ち
- 漢方の病態認識
- 「証」は一人に一つしかない
- 漢方処方製剤の注意点
- 代表的な漢方処方製剤
- 風邪に用いられる生薬成分
- 風邪に用いられる漢方製剤
- 風邪に用いられる漢方製剤で肝臓病のリスクがあるもの
- 鎮痛に用いられる生薬成分
- その他
- 解熱鎮痛薬の場合の生薬成分のメリット
- 鎮痛に用いられる漢方処方製剤
- 眠気を促す生薬成分
- 神経痛・不眠などに用いられる漢方処方製剤
- 小児の疳を適応症とする生薬成分・漢方処方製剤
- 小児の疳を適応症とする主な漢方処方製剤
- 小健中湯(ショウケンチュウトウ)
- 呼吸器に用いられる生薬成分
- 呼吸器の改善を期待して用いられる漢方処方製剤
- 口腔・含嗽薬に用いられる生薬成分
- 口腔・含嗽薬(うがい薬)に用いられる漢方製剤
- 胃の不調に用いられる生薬成分
- 胃の不調に用いられる漢方処方製剤
- 瀉下作用を期待して用いられる生薬成分
- 整腸作用に用いられる生薬成分
- 収斂作用を期待して用いられる生薬成分
- 鎮痛鎮痙作用を期待して用いられる生薬成分
- 腸の不調に用いられる漢方処方製剤
- 駆虫作用を期待して用いられる生薬成分
- 強心薬に用いられる生薬成分
- 強心作用を期待して用いられる漢方処方製剤
- 循環器用薬に用いられる生薬成分
- 循環器用薬の漢方処方製剤
- 外用痔疾用薬に用いられる生薬成分
- 内用痔疾用薬に用いられる生薬成分
- 内用痔疾用薬に用いられる漢方処方製剤
- 尿路消毒に用いられる生薬成分
- 尿量増加(利尿作用)を期待して配合される生薬
- 尿量増加を期待して用いる漢方製剤
- 婦人科用薬の生薬成分
- 婦人科用薬の漢方処方製剤
- 皮膚の症状を主とする人に適するとされる漢方製剤
- 鼻の症状を主とする人に適するとされる漢方製剤
- 外用薬漢方処方製剤
- 頭皮毛根に用いる生薬成分
- 骨や歯に用いられる生薬成分(外用)
- 口内炎用薬に用いられる生薬成分
- 漢方処方製剤
- 滋養強壮に用いられる生薬
- 滋養強壮に用いられる漢方処方製剤
- 重要ポイントまとめ
漢方は実は日本生まれの日本育ち

古来、5〜6世紀頃に中国から伝わり、日本において発展してきた日本の伝統医学が漢方医学であり、西洋から日本に入ってきた蘭方(西洋医学)と区別するためにこの名前がつけられました。
漢方薬は、基本的に生薬を組み合わせて構成された漢方処方製剤(漢方薬)です。
現代の中国で主に利用されている薬剤は中医学で、漢方薬ではなく中薬と呼ばれ漢方薬とは明らかに別物です。
中薬のほとんどは日本では医薬品として認められていません。
また韓国の伝統医学は韓医学と呼ばれ、同様にそこで用いられている薬剤は韓方薬で、これも漢方薬とは区別されています。
漢方処方は、処方全体としての適用性等、その性質からみて処方自体が一つの有効成分として独立したものという見方をすべきものです。
漢方薬は使用する人の体質や症状その他の状態に適した処方を既成の処方の中から選択して用いられます。
現代では、漢方処方製剤の多くは、処方に基づく生薬混合物の浸出液を濃縮して調製された乾燥エキス製剤を散剤等に加工して市販されていますが軟エキス剤、伝統的な煎剤用の刻み生薬の混合物、処方に基づいて調製された丸剤等も存在します。
なお、漢方医学の考え方に基づかない、生薬を使用した日本の伝統薬も存在し、漢方処方製剤と合わせて、生薬製剤と呼ばれます。
一般用に用いることが出来る漢方処方は、現在 300 処方程度でありますが、平成 20 年の厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知により、医薬品の効能効果の表現に、この「証」の考えを盛り込んだ見直しが行われました。
漢方薬はその人の体質や症状に合ったものでないと効果がない?

漢方薬は、使用する人の体質や症状などの状態に適した処方を選びます。
同じ風邪でも「この人には葛根湯が合う」「この人には麻黄湯が合う」となります。
この体質などを知ることを病態認識と言います。
漢方では病態を「証」や「気・血・水(き・ち・すい)」「陰陽」「五臓」などで認識します。
漢方の病態認識
ただ、私たちが服用する一般用医薬品(OTC医薬品)の場合は「証」や「気・血・水」では分かりにくいので、代わりに「しばり」として記載されています。
虚実の言い換え
- 実の病態→体力が充実して〜
- 虚と実の中間で実に近い病態→体力中等度以上で
- 虚と実の中間で虚に近い病態→体力中等度以下で
- 虚の病態→体力虚弱で
- 虚実に関わらない「体力に関わらず〜
気・血・水の言い換え
- 水毒→「口渇があり尿量が減少」
- 血虚→「皮膚の色つやが悪い」
陰陽の言い換え
- 陽→「のぼせぎみで顔色が赤い」
- 陰→「疲れやすく、冷えやすい」
五臓の言い換え
- 脾胃虚弱→「胃腸虚弱で〜」
- 肝臓失調状態→「いらいらして落ち着きのないもの」
試験問題としばり
お伝えした通り、厚生労働省は漢方薬の証を一般用医薬品であるために分かりやすい表現(しばり)に言い換えています。
このため、登録販売者試験にもこの「しばり」に関する問題が出題されます。
「証」は一人に一つしかない

漢方薬は患者さんの「証」があっていないと効果がないだけでなく副作用がおきやすくなります。
その「証」は1人に一つしかありません。
という事は、それぞれの漢方薬の説明文の後半部分に異なる「証」の文章がよく出てきますが、それは全く覚える必要がないんです。
漢方処方製剤の注意点

漢方処方製剤を利用する場合、患者の証に合った漢方処方が選択されれば効果が期待できますが、合わないものが選択された場合は副作用を生じやすくなります。
そのため、それぞれの製剤について、その効能効果の欄に記載されている「証」の概念を良く理解し、漢方薬が使用される人の体質と症状を十分に踏まえ、処方が選択されることが重要となります。
従って、一般の生活者が一般用医薬品として漢方薬を購入する際には、漢方処方製剤を使用しようとする人の「証」(体質や病状など)を理解し、その「証」にあった漢方処方を選択することが出来るように登録販売者がアドバイスを行って、適正使用を促していくことが重要です。
また一般の生活者においては「漢方薬は作用が穏やかで副作用が少ない」という誤った認識がなされていることが多く、副作用を看過(見逃す)する要因になります。
例えば、漢方製剤においても間質性肺炎や肝機能障害のような重篤な副作用が起きることがあります。
また「証」に適さない漢方処方製剤が使用されれば、症状の悪化や副作用を引き起こす場合もあります。
なお、漢方処方製剤は、用法用量において適用年齢の下限が設けられていない場合であっても、 生後3ヶ月未満の乳児には使用しないこととされています。
また漢方処方製剤は体質改善を主旨としているものが多く、比較的長期間(1ヶ月くらい)継続して服用されることがあります。
漢方製剤の注意点まとめ
- 副作用が少ないという誤った認識
- 3ヶ月未満の乳児には使用しない
- 体質改善のため1か月くらい継続されることがある
三大生薬の留意点
三大生薬(マオウ・ダイオウ・カンゾウ)の留意点は登録販売者試験でも頻出の項目ですので、しっかりと覚えましょう。
① マオウを配合する医薬品に共通する留意点
「心臓病・高血圧・糖尿病又は甲状腺機能障害の診断を受けた人では、症状を悪化させるおそれがある」
「高齢者では、心臓病や高血圧、糖尿病の基礎疾患がある場合が多く、また、一般的に心悸亢進や血圧上昇、血糖値上昇を招きやすい」
ポイント
マオウは交感神経を優位にするエフェドリンの原料なので上記のような副作用があります。
交感神経が優位になる=試合中と同じです。
① 戦っている間は運動量が増えるので細胞に酸素をたくさん供給する必要があります。
② 酸素をたくさん供給するためには心臓のポンプをたくさん動かす必要があるので、心臓の負担が増えます。(心臓病に良くない)
③ また血流量を増やすためには血管を拡げるので血圧が上がります(高血圧に良くない)
④ 体を動かすためには、エネルギー源のブドウ糖を細胞にたくさん供給するために血糖値が上がります。(糖尿病に良くない)
⑤ その上、甲状腺が新陳代謝を高めるために甲状腺ホルモンの分泌を活発にします。(甲状腺機能障害に良くない)
※)甲状腺ホルモンは細胞の新陳代謝を活発にすることで、脂肪や糖分を燃焼させてエネルギーを作り出し、全身の細胞の新陳代謝を促進します。
② ダイオウを配合する製剤に共通する留意点
構成生薬にダイオウを含む漢方処方製剤を服用した際に瀉下作用の増強(強く現れること)を生じ、腹痛や激しい腹痛を伴う下痢などの副作用が現れやすくなるため、瀉下薬(便秘薬)との併用には注意する必要があります
ポイント
ダイオウは便秘薬によく用いられる生薬センナに含まれるセンノシドを含みます。
センノシドは胃や小腸で消化されずに大腸に生息する腸内細菌によって分解され、分解生成物が大腸を刺激して瀉下作用(過剰なものを捨てるという意味)をもたらすと考えられています。
またダイオウは各種の漢方処方の構成生薬としても配合されていますが、瀉下を目的としない場合には瀉下作用は副作用となります。
また大黄は下剤として使用されますが、それ以外にも気の鬱屈(気うつ)や血の鬱滞(瘀血(オケツ))、熱のこもりなどを軽減する目的で使用されることもあり、むしろこちらの方が重要です。
そのため多くの漢方薬に血流を改善したり、こもっている熱を体から出すなどの目的で配合されています。
③カンゾウを配合する医薬品に共通する留意点
「まれに重篤な副作用として肝機能障害や偽アルドステロン症が起こることが知られている」
「むくみ・心臓病・腎臓病・高血圧のある人や高齢者では偽アルドステロン症を生じるリスクが高いため、それらの人に1日最大服用量がカンゾウ(原生薬換算)として1g以上の製品を使用する場合は、治療を行っている医師又は処方薬の調剤を行った薬剤師に相談する等、事前にその適否を十分考慮するとともに、偽アルドステロン症の初期症状に常に留意する等、慎重に使用する必要がある」
ポイント
漢方薬の副作用として、もっと多いのはカンゾウの取り過ぎによるものです。
カンゾウを取りすぎると血圧上昇・むくみ・血中カリウムの低下などの偽アルドステロン症になる場合があります。
高血圧に伴う随伴症状について
高血圧に伴う随伴症状としてのぼせ、肩こり、のぼせ、耳鳴り、頭重があります。
※ 随伴症状とはある症状に伴って現れる症状のことです。
その他の生薬の主な副作用
- 半夏(ハンゲ)には間質性肺炎、
- 地黄(ヂオウ)当帰(トウキ)川弓(センキュウ)には胃腸障害
- 桂枝(ケイシ)には過敏症
などの副作用の可能性があります。

漢方製剤の特徴まとめ
漢方薬には様々な重複する効能効果があります。
その一方でそれぞれの漢方薬には特徴があります。
登録販売者試験では、それらを言い換える問題が多く出題されます。
そこでそんな特徴や効能・効果などをまとめました。
これらを覚えることは得点力アップにつながりますので是非、覚えてください!
かぜに用いる漢方製剤別の特徴
- 葛根湯→肩こり、風邪のひき始め
- 麻黄湯→ふしぶしの痛み(インフルエンザのような症状)
- 小柴胡湯→舌に白苔(はくたい)
- 柴胡桂枝湯→かぜの中期から後期
- 小青竜湯→アレルギー性鼻炎
- 桂枝湯→汗が出ている人のかぜの初期
- 香蘇散→胃腸が弱い人のかぜの初期
ポイント
葛根湯は「上半身の血行を良くする働き」があるので肩こりにも効果があります。
また風邪に用いる漢方薬はタイミングや対象になる人の違いを覚えましょう。
鎮痛に用いられる漢方製剤の特徴

- 芍薬甘草湯→こむら返り
- 桂枝加朮附湯、桂枝加苓朮附湯→こわばり
- 麻杏薏甘湯→イボ(いぼ痔ではない)
- 疎経活血湯→しびれがある
- 当帰四逆加呉茱萸生姜湯→下肢の冷え
- 釣藤散→慢性頭痛
- 呉茱萸湯→しゃっくり
鎮咳・去痰に用いられる漢方薬の特徴

- 半夏厚朴湯→喉のつかえ
- 柴朴湯→風邪をひきやすい
- 麦門冬湯→咽頭の乾燥
- 五虎湯→咳が強く出る
- 麻杏甘石湯→喉の渇き
- 神秘湯→痰が少ない
- 半夏厚朴湯→カンゾウを含まない
カンゾウには抗炎症作用があるので、咳や喉の症状にはよく使用されますが、半夏厚朴湯は珍しく配合されていません。
喉の痛みに用いられる漢方薬の特徴

- 桔梗湯→咳が出る
- 駆風解毒湯、駆風解毒散→うがいしながら服用する
- 白虎加人参湯→口渇が強い
- 響声破笛丸→咽頭の不快感
お腹に用いられる漢方薬の特徴

- 黄連解毒湯→鼻出血
- 防已黄耆湯→水太り
- 防風通聖散→腹部に皮下脂肪
- 大柴胡湯→常習便秘
- 清上防風湯→赤鼻・ニキビ
- 安中散→ゲップ・腹部の筋肉の弛緩
- 小健中湯→小児にも適用される
文字別の特徴

漢方薬の場合、漢方薬名に使われている「文字」から配合している生薬や働き、副作用などが分かります。
そんな「文字」の示す意味をまとめました。
是非、それぞれの文字が示す意味を理解して合格力をアップさせましょう!
「瀉」
「瀉」とは「もらす」「逃がす」とい う意味で、あり余っている状態から過剰な部分を取り去るということを意味します。
「瀉」には主にダイオウやオウレンなどが用いられます。
「逆」
「逆」は下肢からの冷えを意味します。
「辛夷(シンイ)」又は「辛」
漢方薬名に「辛」又は「辛夷」の文字が使われている場合は、蓄膿症や鼻詰まり、風邪やアレルギー症状などがあると覚えておきましょう。
(例)辛夷清肺湯

症状の重い蓄膿症に使われる。
体質の弱い人には使えない。
(例)葛根湯加川芎辛夷
葛根湯が有効な症状での鼻詰まりや蓄膿症、慢性鼻炎に使用される。
「補」
「補」という字が使われている漢方薬は体力を補う作用があり、主に
- 体力がない人
- 虚弱体質な人
- 疲れが溜まっている人
に処方される漢方薬です。
ですので、「補」の文字が入っていて「体力が充実〜」「体力が十分にあって〜」とあれば誤りです。
「中」
「中」はお腹や胃に作用する漢方薬に含まれています。
前述の補中益気湯の作用を見てみると、胃腸を整える作用も含まれていますよね。
ですので「中」の文字があるのにお腹に関する効能がなければ誤りです。
「黄」
大黄・黄連・黄麦の3つの「黄」の文字がつく生薬はどれも瀉下作用があります。
瀉下作用以外の目的で配合されている場合は瀉下作用が副作用になります。
「竜」
竜骨とは大型ほ乳動物の化石化した骨で、主として炭酸カルシウムからなります。
鎮静・収斂・止瀉作用などがあり、主に動悸・不眠・健忘などに用いられる。
「四」
四肢(両手足)のことです。
「半夏(ハンゲ)」
「半夏」は吐き気によく使われる生薬です。
代表的な漢方処方製剤
黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)

体力中等度以上でのぼせ気味で、顔色赤くイライラして落ち着かない傾向のあるものの、鼻出血・不眠症・神経症・胃炎・二日酔い・血の道症・めまい・動悸・更年期障害・湿疹・皮膚炎・皮膚の痒み・口内炎に適すとされるが、体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)では不向きとされています。
まれに重篤な副作用として肝機能障害、間質性肺炎、腸間膜静脈硬化症が起こることが知られています。
ポイント
漢方では、口内炎ができるのは体の上部に熱がこもっているからだと考えます。
例えば、刺激物や脂っこいものや甘いものをとり過ぎると、余分な熱が発生し、体の上部に熱がこもってしまいます。
余分な熱は炎症を引き起こすため、口内炎や赤みのある皮膚炎、鼻血などの原因になります。
黄連解毒湯(おうれんげどくとう)は、胃炎などの炎症、鼻出血、高血圧、動悸、皮膚のかゆみなどを鎮めるほか、体を冷やして熱をとり、炎症を鎮める作用で、口内炎や皮膚炎を緩和します。
防已黄耆湯(ボウイオウギトウ)

体力中等度以下で疲れやすく、汗のかきやすい傾向があるものの肥満に伴う関節の腫れの痛み・むくみ・多汗症)、肥満症(筋肉にしまりのない、いわゆる水ぶとり)に適すとされます。
構成生薬としてカンゾウを含みます。
まれに重篤な副作用として肝機能障害、間質性肺炎、偽アルドステロン症が起こることが知られています。。
ポイント
防已黄耆湯は水分バランスの乱れを整えて膝の痛みなどの関節痛や多汗症などに効果を発揮します。
防風通聖散(ボウフウツウショウサン)

体力充実して、腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちなものの高血圧や肥満に伴う動悸 ・肩こり・のぼせ・むくみ・便秘・蓄膿症(副鼻腔炎)・湿疹・皮膚炎・吹き出物(にきび肥満症に適すとされるが、体の虚弱な人 (体力の衰えている人、体の弱い人)胃腸が弱く下痢しやすい人、発汗傾向の著しい人では、激しい腹痛を伴う下痢等の副作用が現れやすい等、不向きとされます。
小児に対する適用はありません。
また、本剤を使用するときには、他の瀉下薬との併用は避けることとされています。
構成生薬としてカンゾウ・マオウ・ダイオウを含みます。1週間くらい
まれに重篤な副作用として肝機能障害、間質性肺炎、偽アルドステロン症、、腸間膜静脈硬化症が起こることが知られています。
便秘に用いられる場合には、漫然と長期の使用は避け、1週間位使用しても症状の改善がみられないときは、いったん使用を中止して専門家に相談するなどの対応が必要です。
ポイント
皮下脂肪が特徴です。
またカンゾウ、マオウ、ダイオウを含んでいます。
小林製薬のナイシトールやクラシエのコッコアポはこの防風通聖散です。
大柴胡湯(ダイサイコトウ)

体力が充実して脇腹からみぞおちにかけて苦しく、便秘の傾向があるものの胃炎・常習便秘・高血圧や肥満に伴う肩こり・頭痛・便秘・肥満症・神経症に適すとされるが、体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)胃腸が弱く下痢しやすい人では、激しい腹痛を伴う下痢等の副作用が現れやすい等、不向きとされます。
まれに重篤な副作用として肝機能障害、間質性肺炎が起こることが知られています。
常習便秘、高血圧に伴う便秘に用いられる場合には、漫然と長期の使用は避け、いっしゅうかんくらい使用しても症状の改善がみられないときは、いったん使用を中止して専門家に相談するなどの対応が必要です。
「構成生薬としてダイオウを含む」
ポイント
大柴胡湯は脂質の代謝改善を助けます。
清上防風湯(セイジョウボウフウトウ)

「体力中等度以上で赤ら顔でときにのぼせがある)のにきび・顔面・頭部の湿疹・皮膚炎・赤鼻(酒さ)に適すとされるが、胃腸の弱い人では食欲不振、胃部不快感の副作用が現 れやすい等、不向きとされる」
「構成生薬としてカンゾウを含む」
ポイント
清上防風湯は主にニキビに使用されるお薬です。
中枢性鎮咳作用を示す生薬成分として、半夏(ハンゲ)が配合されている場合もあります。
甘草湯(カンゾウトウ)

構成生薬がカンゾウのみからなる漢方処方製剤で、体力に関わらず(関わらず)広く応用でき、激しい咳、口内炎・しわがれ声に、外用では痔・脱肛の痛みに用いられる。
「日本薬局方収載のカンゾウも煎薬(煎じてお茶のように服む)として同様の目的で用いられる」
「また甘草湯のエキス製剤は乳幼児にも使用されることがある」
ポイント
カンゾウには抗炎症作用があるので炎症に広く用いられます。

風邪に用いられる生薬成分
解熱成分
解熱作用を期待してジリュウ、ゴオウ、カッコン、サイコ、ボウフウ、ショウマが配合されている場合があります。
ショウキョウ、ケイヒなどが、他の解熱鎮痛成分と組み合わせて配合されている場合もあります。
鎮痛作用を期待してセンキュウ、コウブシなどが配合されている場合があります。
鼻粘膜の充血を和らげ、気管・気管支を拡げる生薬成分
マオウが配合されている場合があります。
咳を抑える生薬成分(鎮咳成分)
ナンテンジツ等の生薬成分が配合されている
痰のキレを良くする生薬成分(去痰成分)
シャゼンソウ、セネガ、キキョウ、セキサン、オウヒなどが配合されている場合があります。
抗炎症作用
グリチルリチン酸を含む生薬成分としてカンゾウが配合されている場合もあります。
その他
発汗、抗炎症等の作用を目的としてカミツレが配合されている場合があります。
風邪に用いられる漢方製剤
かぜ薬に配合される漢方処方成分、又は単独でかぜの症状緩和に用いられる漢方の主なもの
- 葛根湯
- 麻黄湯
- 小柴胡湯
- 柴胡桂枝湯
- 小青竜湯
- 桂枝湯
- 香蘇散
- 半夏厚朴湯
- 麦門冬湯
これらのうち半夏厚朴湯を除くいずれも、構成生薬としてカンゾウを含みます。
またこれらのうち麻黄湯、葛根湯と小青竜湯にはマオウを含みます。
葛根湯(カツコントウ)
体力中等度以上のものの感冒の初期(汗をかいていないもの)、鼻かぜ、鼻炎、頭痛、肩こり、筋肉痛、手や肩の痛みに適すとされるが、体の虚弱な体力の衰えている人、体 の弱い人)胃腸の弱い人、発汗傾向の著しい人では、悪心、胃部不快感等の副作用が現れ やすい等、不向きとされます。
麻黄湯(マオウトウ)
体力充実して風邪のひき始めで、寒気がして発熱、頭痛があり、咳せきが出て身体のふしぶしが痛くて汗が出ていないものの感冒、鼻かぜ、気管支炎、鼻づまりに適すとされるが、 胃腸の弱い人、発汗傾向の著しい人では、悪心、胃部不快感、発汗過多、全身脱力感等の 副作用が現れやすい等、不向きとされます。
漢方処方製剤としての麻黄湯(マオウトウ)では、マオウの含有量が多くなるため、体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)は使用を避ける必要があります。
小柴胡湯(ショウサイコトウ)
体力中等度でときに脇腹やみぞおちにかけて苦しく、食欲不振や口の苦味があり、舌に白苔がつくものの食欲不振、吐きけ、胃炎、胃痛、胃腸虚弱、疲労感、か ぜの後期の諸症状に適すとされ、また、胃腸虚弱、胃炎のような消化器症状にも用いられる。
柴胡桂枝湯(サイコケイシトウ)
体力中等度又はやや虚弱で多くは腹痛を伴い、ときに微熱・寒気・頭痛・吐き気などのあるものの胃腸炎、かぜの中期から後期の症状に適すとされる。
小柴胡湯、柴胡桂枝湯ともに、まれに重篤な副作用として間質性肺炎、肝機能障害を生じることが知られており、その他の副作用として、膀胱炎の様な症状(頻尿、排尿痛、血尿、残尿感)が現れることもある。
小柴胡湯については、インターフェロン製剤で治療を受けている人では、間質性肺炎の副作用が現れるおそれが高まるため、使用を避ける必要があります。
また、肝臓病自体が、間質性肺炎を起こす要因のひとつとされており、肝臓病の診断を受けた人では、治療を行っている医師又は処方薬の調剤を行った薬剤師に相談するなどの対応が必要で
小青竜湯(ショウセイリュウトウ)
体力又はやや虚弱でうすい水様の痰を伴う咳や鼻水が出るものの気管支炎、気管支 喘ぜ ん 息、鼻炎、アレルギー性鼻炎、むくみ、感冒、花粉症に適すとされるが、体の虚弱な人(体力の 衰えている人、体の弱い人)、胃腸の弱い人、発汗傾向の著しい人では、悪心、胃部不快感 等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。
まれに重篤な副作用として、肝機能障害、間質性肺炎、偽アルドステロン症を生じることが知られている。
桂枝湯(ケイシトウ)
桂枝湯は、体力虚弱で汗が出るものも風邪の初期に適すとされる。
香蘇散(コウソサン)
体力虚弱で神経過敏で気分がすぐれず胃腸が弱いもののかぜの初期血の道症に適すとされます。
半夏厚朴湯(ハンゲコウボクトウ)麦門冬湯(バクモンドクトウ)
これら漢方処方に関する出題については咳止め・痰を出やすくする薬を参照してください。
その他
強壮作用等を期待してニンジンやチク セツニンジン等の生薬成分等が配合されている場合もある。(体力の回復を助けるため)


風邪に用いられる漢方製剤で肝臓病のリスクがあるもの
- 葛根湯
- 小柴胡湯
- 柴胡桂枝湯
- 小青竜湯
- 麦門冬湯
鎮痛に用いられる生薬成分
地竜(ジリュウ)
ふとミミズ科の又はその近縁動物の内部を除いたもの を基原とする生薬で、古くから「熱冷まし」として用いられてきた。
はジリュウのエキスを 製剤化した製品は「感冒時の解熱」が効能・効果となっている。
芍薬(シャクヤク)
ボタン科のシャクヤクの根を基原とする生薬で、鎮痛鎮痙作用、鎮静作用を示し、内臓の痛みにも用いられる。
同様な作用を期待して、ボタンピ(ボタン科のボタンの根皮を基原とする生薬)が配合されている場合もある。
防已(ボウイ)
ツヅラフジ科のオオツヅラフジの蔓性の茎及び根茎を、通例、横切したものを基原とす る生薬で、鎮痛、利尿作用等の作用を期待して用いられる。
日本薬局方収載のボウイは、煎薬として筋肉痛、神経痛、関節痛に用いられる。
その他
抗炎症作用を示す生薬として、カンゾウが配合されている場合がある。
解熱鎮痛薬の場合の生薬成分のメリット
生薬成分が解熱又は鎮痛をもたらす仕組みは、化学的に合成された成分(プロ スタグランジンの産生を抑える作用)と異なるものと考えられており、アスピリン等の解熱鎮痛成分の使用を避けなければならない場合にも使用できる。
鎮痛に用いられる漢方処方製剤
鎮痛の目的で用いられる漢方製剤には
- 芍薬甘草湯
- 桂枝加朮附湯
- 桂枝加苓朮附湯
- 薏苡仁湯
- 麻杏薏甘湯
- 疎経活血湯
- 当帰四逆加呉茱萸生姜湯
- 呉茱萸湯
- 釣藤散
などがある。
これらのうち、呉茱萸湯以外はいずれも構成生薬としてカンゾウを含んでいる。
芍薬甘草湯(シャクヤクカンゾウトウ)
体力に関わらず使用でき筋肉の急激な痙攣を伴う痛みのあるもののこむらがえり、筋肉の痙攣、腹痛、腰痛に適すとされまふ
ただし、症状があるときのみの服用にとどめ、連用は避ける。
まれに重篤な副作用として、肝機能障害のほか、間質性肺炎、鬱血性心不全や心室頻拍を生じることが知られており、心臓病の診断を受けた人では使用を避ける必要がある。
桂枝加朮附湯(ケイシカジュツブトウ)
桂枝加苓朮 附湯は体力虚弱で、手足が冷えてこわばり、尿量が少なく、ときに動悸、めまい、筋肉のぴくつきがあるものの関節痛、神経痛に適すとされるが、動悸、のぼせ、ほてり等の副作用が現れやすい等の理由で、のぼせが強く赤ら顔で体力が充実している人には不向きとされる。
薏苡仁湯(ヨクイニントウ)
体力中等度(虚実)なものの関節や筋肉の腫れや痛みがあるものの関節痛、筋肉痛、神経痛に適す。
麻杏薏甘湯(マキョウヨクカントウ)
体力中等度で(虚実)関節痛、神経痛、筋肉痛、イボ、手足のあれ(手足の湿疹・皮膚炎)に適すとされるが、どちらも悪心・嘔吐、胃部不快感等の副作用 が現れやすい等の理由で、体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)、胃腸の弱い人、 発汗傾向の著しい人には不向きとされる。
どちらの処方も構成生薬としてマオウを含む。
疎経活血湯(ソケイカッケツトウ)
体力中等度で(虚実)痛みがあり、ときにしびれがあるものの関節痛、神経痛、腰痛、筋肉痛に適すとされるが、消化器系の副作用(食欲不振、胃部不快感等)が現れやすい等の理由で、胃
腸が弱く下痢しやすい人には不向きとされる。
当帰四逆加呉茱萸生姜湯(トウキシギャクカゴシュユショウキョウトウ)
体力中等度以下で(虚実)手足の冷えを感じ、下肢の冷えが強く、下肢又は下腹部が痛くなりやすいものの冷え症、腰痛、下腹部痛、頭痛、しもやけ、下痢、月経痛に適すとされるが、胃腸の弱い人には不向きとされる。
釣藤散(チョウトウサン)
体力中等度で(虚実)慢性に経過する頭痛、めまい、肩こりなどがあるものの慢性頭痛、神経症、 高血圧の傾向にあるものに適すとされるが、消化器系の副作用(食欲不振、胃部不快感等) が現れやすい等の理由で、胃腸虚弱で冷え症の人には不向きとされる。
呉茱萸湯(ゴシュユトウ)
体力中等度以下で(虚実)手足が冷えて肩がこり、ときにみぞおちが膨満するものの頭痛、頭痛に伴う吐きけ・嘔吐、シャックリに適すとされる。


眠気を促す生薬成分
神経の興奮・緊張緩和を期待して
- チョウトウコウ:アカネ科のカギカズラ、ウンカリア・シネンシス又はウンカリア・マクロフィラの通例とげを基原とする生薬
- サンソウニン:クロウメモドキ科のサネブトナツメの種子を基原とする生薬
- カノコソウ(別名キッソウコン):オミナエシ科のカノコソウの根茎及び根を基原とする
- チャボトケイソウ(別名パッシフローラ):南米原産のトケイソウ科の植物で、その開花期における茎及び葉が薬用部位となる。
- ホップ:ヨーロッパ南部から西アジアを原産とするアサ科のホップ Hの成熟した球果状の果穂が薬用部位となる。
等の生薬成分が複数配合されている製品がある。
生薬成分のみからなる鎮静薬であっても、複数の鎮静薬の併用や長期連用は避けるべきである。
神経痛・不眠などに用いられる漢方処方製剤
神経質、精神不安、不眠等の症状の改善を目的とした漢方処方製剤は以下の通りです。
- 酸棗仁湯
- 加味帰脾湯
- 抑肝散
- 抑肝散加陳皮半夏
- 柴胡加竜骨牡蛎湯
- 桂枝加竜骨牡蛎湯等
これらの漢方処方製剤は症状の原因となる体質の改善を主眼としているため、いずれの処方も抗不安薬、催眠薬、抗痙攣(けいれん)薬」や筋弛緩薬として用いられる。
抑肝散、抑肝散加陳皮半夏、柴胡加 竜骨牡蛎湯、桂枝加竜骨牡蛎湯については、小児の疳や夜泣きにも用いられる。
酸棗仁湯(サンソウニントウ)
体力中等度以下で(虚実)心身が疲れ、精神不安、不眠などがあるものの不眠症、神経症に適すとされるが、胃腸が弱い人、下痢又は下痢傾向のある人では、消化器系の副作用(悪心、食
欲不振、胃部不快感等)が現れやすい等、不向きとされる。
1週間位服用して症状の改善がみられない場合には、漫然と服用を継続せず、医療機関を受診するなどの対応が必要である。
加味帰脾湯(カミキヒトウ)
体力中等度以下で(虚実)心身が疲れ血色が悪いときに熱感を伴うものの貧血、不眠症、精神不安、神経症に適すとされる。
抑肝散(ヨクカンサン)
体力中等度をめやすとして神経がたかぶり、怒りやすい、イライラなどがあるものの神経症、不眠症、小児夜なき、小児疳症(神経過敏)、歯ぎしり、更年期障害、血の道症に適すとされる。
心不全を引き起こす可能性があるため、動くと息が苦しい、疲れやすい、足がむくむ、急に体重が増えた場合は直ちに医師の診療を受けるべきであ る。
抑肝散加陳皮半夏(ヨクカンサンカチンピハンゲ)
体力中等度(虚実)をめやすとしてやや消化器が弱いものに幅広く用いることができる。
神経がたかぶり、怒りやすい、イライラなどがあるものの神経症、不眠症、小児夜なき、小児疳症、更年期障害、血の道症、歯ぎしりに適すとされる。
柴胡加竜骨牡蛎湯(サイコカリュウコツボレイトウ)
体力中等度以上で(虚実)精神不安があって、動悸、不眠、便秘などを伴う高血圧の随伴症状(動悸、不安、不眠)、神経症、更年期神経症、小児夜なき、便秘に適すとされるが、体の虚弱な 人(体力の衰えている人、体の弱い人)、胃腸が弱く下痢しやすい人、瀉しゃ下薬(下剤)を服用 している人では、腹痛、激しい腹痛を伴う下痢の副作用が現れやすい等、不向きとされてい る。
構成生薬としてダイオウを含む。
桂枝加竜骨牡蛎湯(ケイシカリュウコツボレイトウ)
体力中等度以下(虚実)で疲れやすく疲れやすく、興奮しやすいものの神経質、不眠症、小児夜なき、夜尿症、眼精疲労、神経症に適すとされる。
小児の疳を適応症とする生薬成分・漢方処方製剤
代表的な生薬成分
小児の疳は「乾」という意味もあるとも言われ、痩やせて血が少ないことから生じると考えられており、鎮静作用のほか、血液の循環を促す作用があるとされる生薬成分を中心に配合されている。
鎮静と中枢刺激のように相反する作用を期待する生薬成分が配合されている場合もあるが、身体の状態によってそれらに対する反応が異なり、総じて効果がもたらされると考えられている。
いずれも古くから伝統的に用いられているものであるが、購入者等が
「作用が穏やかで小さな子供に使っても副作用がない」
などといった安易な考えで使用することを避け、適切な医薬品を選択することができるよう、積極的な情報提供を行うことに努める必要がある。
牛黄(ゴオウ)麝香(ジャコウ)
緊張や興奮を鎮め、また、血液の循環を促す作用等を期待して用いられます。
羚羊角(レイヨウカク)
ウシ科のサイカレイヨウ(高鼻レイヨウ)等の角を基原とする生薬で、緊張や興奮を鎮める作用等を期待して用いられる。
沈香(ジンコウ)
ジンチョウゲ科のジンコウその他同属植物の材、特にその辺材の材質中に黒色の樹脂が沈着した部分を採取したものを基原とする生薬で、鎮静、健胃、強壮などの作用を期待して用いられる。
その他
- リュウノウ(ボルネオールを含む)
- 動物胆(ユウタンを含む)
- チョウジ
- サフラン
- ニンジン
- カンゾウ
小児の疳を適応症とする主な漢方処方製剤
- 柴胡加竜骨牡蛎湯
- 桂枝加竜骨牡蛎湯
- 抑肝散
- 抑肝散加陳皮半夏
- 小建中湯
漢方処方製剤は、用法用量において適用年齢の下限が設けられていない場合にあっても、生後3ヶ月未満の乳児には使用しないこととなっている。
小健中湯(ショウケンチュウトウ)
「体力虚弱(虚弱)で疲労しやすく腹痛があり、血色が優れず(陰)ときに動悸、手足のほてり、冷え、寝汗、鼻血、頻尿及び多尿などを伴うものの小児虚弱体質、疲労倦怠、慢性胃 腸炎、腹痛、神経質、小児夜尿症、夜泣きに適すとされる」
呼吸器に用いられる生薬成分
比較的穏やかな鎮咳去痰作用を示し、
- 中枢性鎮咳成分
- 気管支拡張成分
- 去痰成分
- 抗炎症成分
の働きを助けることを期待して配合さる生薬成分。

鎮咳作用に用いられる生薬成分
中枢性鎮咳作用を示す生薬成分として、半夏(ハンゲ:サトイモ科のカラスビシャクのコルク層を除いた塊茎を基原とする生薬)が配合されている場合もある。
気管支拡張作用に用いられる生薬成分
マオウ(マオウ科のマオウ、チュウマオウ又はエフェドラ・エクイセチナの地上茎を基原とする生薬)が配合されている場合もある。
マオウについては、気管支拡張のほか、発汗促進、尿量増加(利尿)等の作用も期待される。
炎症を和らげる生薬成分
カンゾウ(マメ科のウラルカンゾウ又はグリキルリザ・グラブラの根及びストロンで、ときには周皮を除いたものを基原とする生薬)が用いられることもある。
鎮咳去痰作用を期待して用いられる生薬成分
杏仁(キョウニン)
「バラ科のホンアンズ、アンズ等の種子を基原とする生薬で、体内で分解されて生じた代謝物の一部が延髄の呼吸中枢・咳嗽中枢を鎮静させる作用を示すとされる」
南天実(ナンテンジツ)
「メギ科のシロミナンテン(シロナンテン)又はナンテンの果実を基原とする生薬で、知覚神経・末梢運動神経に作用して咳止めに効果があるとされる」
五味子(ゴミシ)
「マツブサ科のチョウセンゴミシの果実を基原とする生薬で、鎮咳作用を期待して用いられる」
車前草(シャゼンソウ)
「オオバコ科のオオバコの花期の全草を基原とする生薬で、種子のみを用いたものはシャゼンシと呼ばれる」
「日本薬局方収載のシャゼンソウは、煎薬として咳に対して用いられる」
※ アレルギーによる気管支喘息は、炎症による粘膜の腫れにより、気道の過敏性が亢進して、気管支の内径が狭くなるとともにヒスタミン等の物質が気管支を収縮させることで引き起こされる。
桜皮(オウヒ)
「バラ科のヤマザクラ又はその他近縁植物の、通例、周皮を除いた樹皮を基原とする生薬で去痰作用を期待して用いられる」
桔梗(キキョウ)
「キキョウ科のキキョウの根を基原とする生薬で、去痰又は去痰を伴う咳に用いられる」
セネガ・ オンジ
「セネガはヒメハギ科のセネガ又はヒロハセネガの根を基原とする生薬、オンジはヒメハギ科のイトヒメハギの根を基原とする生薬で、いずれも去痰作用を期待して用いられる」
「これらの生薬成分の摂取により糖尿病の検査値に影響を生じることがあり、糖尿病が改善したと誤認されるおそれがあるため、1日最大配合量がセネガ原生薬として1.2g以上、 オンジとして1g以上を含有する製品では、使用上の注意において成分及び分量に関 連する注意として記載されている」
セキサン
「ヒガンバナ科のヒガンバナ鱗茎を基原とする生薬で、去痰作用を期待して用いられる」
「セキサンのエキスは、別名を白色濃厚セキサノールとも呼ばれる。」
麦門冬(バクモンドウ)
「ユリ科のジャノヒゲの根の膨大部を基原とする生薬で、鎮咳・去痰・滋養強壮等の作用を期待して用いられる」
呼吸器の改善を期待して用いられる漢方処方製剤
甘草湯のほか、咳止めや痰を出しやすくする目的で用いられる漢方処方製剤は以下のものが挙げられます。
- 半夏厚朴湯
- 柴朴湯
- 麦門冬湯
- 五虎湯
- 麻杏甘石湯
- 神秘湯
半夏厚朴湯(ハンゲコウボクトウ)
体力中等度(虚実)をめやすとして、幅広く応用できる。
気分がふさいで、咽喉・食道部に異物感があり、ときに動悸、めまい、嘔気などを伴う不安神経症、神経性胃炎、つわり、咳せき、しわがれ声、のどのつかえ感に適すとされる。
柴朴湯(サイボクトウ)
体力中等度で(虚実)気分がふさいで咽喉、食道部に異物感があり、かぜをひきやすく、ときに動悸き 、めまい、嘔気などを伴うものの小児喘ぜん息、気管支炎、咳不安神経症に適すとされるが、むくみの症状のある人等には不向 きとされる。
また、上記症状における虚弱体質改善にも用いられる。
まれに重篤な副作用として間質性肺炎、肝機能障害を生じることが知られている。またその他の副作用として、頻尿、排尿痛、血尿、残尿感等の膀胱炎様症状が現れることがある。
麦門冬湯(バクモンドウトウ)
体力中等度以下で(虚実)痰が切れにくく、ときに強く咳きこみ、又は咽頭の乾燥感があるものの空咳、気管支炎、気管支喘喘息、咽頭炎、しわがれ声に適すとされるが、水様痰の多い人には不向きとさ れる。
まれに重篤な副作用として間質性肺炎、肝機能障害を生じることが知られている。
五虎湯(ゴコトウ)
体力中等度以上で(虚実)咳が強くでるものの咳、気管支喘喘息、気管支炎、小児喘喘息、感冒、痔の痛み適すとされる。
麻杏甘石湯(マキョウカンセキトウ)
体力中等度(虚実)あるいはそれ以上で、咳が出て、ときに喉が渇くものの咳、小児喘息、気管支喘喘息、気管支炎、感冒、痔の痛みに適すとされる。
神秘湯(シンピトウ)
体力中等度 (虚実)あるいはそれ以上で、咳、喘鳴、息苦しさがあり、痰が少ないものの小児喘喘息、気管支喘喘息、気管支炎に用いられるが、いずれも胃腸の弱い人、発汗傾向の著しい人等には不向きとされる。
口腔・含嗽薬に用いられる生薬成分
ラタニア
クラメリア科のクラメリア・トリアンドラ及びその同属植物の根を基原とする生薬で、咽頭粘膜をひきしめる(収斂作用)により炎症の寛解を促す効果を期待して用いられる。
ミルラ
カンラン科のミルラノキ等の植物の皮部の傷口から流出して凝固した樹脂を基原とする生薬で、咽頭粘膜をひきしめる収斂作用のほか、抗菌作用も期待して用いられる。
その他
芳香による清涼感等を目的として
- ハッカ(シソ科のハッカの地上部を基原とする生薬)
- ウイキョウ(セリ科のウイキョウの果実を基原とする生薬)
- チョウジ(フトモモ科のチョウジの 蕾 を基原とする生薬)
- ユーカリ(フトモモ科のユーカリノキ又はその近縁植物の葉を基原とする生薬)等から得られた精油成分が配合されている場合がある。
口腔・含嗽薬(うがい薬)に用いられる漢方製剤
桔梗湯(キキョウトウ)
「体力に関わらず広く応用できる。へ
「喉が腫れて痛み、ときに咳が出るものの扁桃炎、扁桃周囲炎に適すとされるが、胃腸が弱く下痢しやすい人では、食欲不振、胃部不快感等の副作用が現れやすい等、不向きとされる」
駆風解毒湯(クフウゲドクトウ)駆風解毒散(クフウゲドクサン)
「体力に関わらず(関わらず)喉が腫れて痛む扁桃炎、扁桃周囲炎に適すとされるが、体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)、胃腸が弱く下痢しやすい人では、食欲不振、胃部不快感等の副作用が現れやすい等、不向きとされる」
「水又はぬるま湯に 溶かしてうがいしながら少しずつゆっくり服用するのを特徴とする。(トローチ剤 もある)」
「いずれも短期間の使用に限られるものでないが、5~6回服用しても症状の改善がみられ ない場合には、扁桃炎や扁桃周囲炎から細菌等の二次感染を生じている可能性もある」
白虎加人参湯(ビャツコカニンジントウ
「体力中等度以上で(虚実)熱感と口渇が強いものの喉の渇き、ほてり、湿疹・皮膚炎・皮膚のかゆみに適すとされるが、体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)胃腸虚弱で冷え症の人では、食欲不振、胃部不快感等の副作用が現れやすい等、不向きとされる」
ポイント
適応から言うと「急性感染症」や「熱中症」などのいわゆる「脱水状態」に用いられていましたが、現在では、点滴など適切な治療があるので、漢方薬で対応することはまずありません。
響声破笛丸(キョウセイハテキガン)
「体力に関わらず(関わらず)広く応用できる」
「しわがれ声、咽頭不快に適すとされるが、胃腸が弱く下痢しやすい人では、食欲不振、胃部不快感等の副作用が現れやすい等、不向きとされる」
「なお、短期間の使用に限られるものでないが、漫然と使用を継続することは避け、5~6日間使用して症状の改善がみられない場合には、いったん使用を中止して専門家に相談がなされることが望ましい」
「構成生薬としてカンゾウを含む」

胃の不調に用いられる生薬成分
味覚(苦味)や嗅覚(香り)を刺激して反射的な唾液や胃液の分泌を促すことにより、弱った胃の働きを高めることを目的として、オウバク、オウレン、センブリ、ゲンチアナ、リュウタン、ケイヒ、 ユウタン等の生薬成分が配合されている場合がある。
例)センブリの苦味やケイヒ(シナモンの香りなど。
ですので、これら生薬成分が配合された健胃薬は散剤(顆粒や粉状なもの)をオブラートで包んで服用すると、味や香りを閉じ込めてしまい効果が期待出来ないので、そのような服用の仕方は適当でない。
オウバク・オウレン

「オウバク(ミカン科のキハダ又はフェロデンドロン・キネンセの周皮を除いた樹皮を基原とする生薬)・オウレン(キンポウゲ科のオウレン、コプティス・キネンシス、コプティス・デルトイデア又はコプティス・テータの根をほとんど除いた根茎を基原とする 生薬)は、いずれも苦味による健胃作用を期待して用いられる」
「日本薬局方収載のオウバク末(オウバクを粉末にしたもの)オウレン末は止瀉薬としても用いられる」
センブリ
「リンドウ科のセンブリの開花期の全草を基原とする生薬で、苦味による健胃作用を期待して用いられる。
日本薬局方収載のセンブリ末は、健胃薬のほか止瀉薬としても用いられる」
※)センブリはセンブリ茶をいれる時に「急須を千回振っても苦い」という言い伝えからセンブリと名前がついたと言われています。
ゲンチアナ・リュウタン
ゲンチアナ(リンドウ科のゲンチの根及び根茎を基原とする生薬)、リュウタン(リンドウ科のトウリンドウ等の根及び根茎を基原とする生薬)は、いずれも苦味による健胃作用を期待して用いられる。
ユウタン(熊の胆)
クマ科のヒグマその他近縁動物の胆汁を乾燥したものを基原とする生薬で、苦味による健胃作用を期待して用いられるほか、消化補助成分として配合される場合もある。
同様の作用を期待してウシ等に由来する動物胆が用いられることもある。
ポイント
胆汁末や動物胆(ユウタンを含む)ウルソデオキシコール酸、デヒドロコール酸は、胆汁の分泌を促す作用(利胆作用)があるとされ消化を助ける効果を期待して用いられる。
これはユウタンの主成分「ウルソデオキシコール酸」は脂肪を乳化するためです。
腸内で脂肪消化酵素「リパーゼ」が脂肪を消化する前に乳化(脂肪を水に溶けやすくする)することで消化しやすくなります。
※1)ユウタンは値段が高いので豚などの胆汁を使用されることが多いですが、熊の胆汁の場合は「ユウタン」、豚などの胆汁の場合は「動物胆」と表記されます。
※2)ウルソデオキシコール酸の「ウルソ」はフランス語で「熊」の意味です。
桂皮(ケイヒ)
クスノキ科のシンナモムム・カッシアの樹皮又は周皮の一部を除いたものを基原とする生薬で、香りによる健胃作用を期待して用いられる。
※桂皮は「シナモン」のことで、独特の香りが胃を刺激することで蠕動運動を活発にして胃を元気にする芳香性(ほうこうせい)健胃生薬です。
その他
香りによる健胃作用を期待して用いられる生薬(芳香性健胃生薬)として
- コウボク(香木: モクレン科のホオノキ、カラホオ等の樹皮を基原とする生薬)
- ショウキョウ(ショウガ科のショウガの根茎を基原とする生薬)
- チョウジ(フトモモ科のチョウジの 蕾 を基原とする生薬)
- チンピ(ミカン科の温州みかんの成熟した果皮を基原とする生薬
- ソウジュツ(キク科のホソバオケラ等、又はそれらの雑種の根茎を基原とする生薬)
- ビ ャクジュツ(キク科のオケラの根茎(ワビャクジュツ)又はオオバナオケラの根茎(カラを基原とする生薬)
- ウイキョウ(セリ科のウイキョウの果実を基原とする生薬)を発揮します。
- オウゴン(オウゴンはシソ科のコガネバナの周皮を除いた根を基原とする生薬)
ポイント
胃腸に用いられる生薬はそれぞれ独特の苦味や香りが胃を刺激することで蠕動運動を活発にする働きが期待出来ます。
胃の不調に用いられる漢方処方製剤
安中散(アンチュウサン)
「体力中等度以下(虚実)で腹部筋肉が弛緩する傾向にあり、胃痛又は腹痛があって、ときに胸やけやゲップ、食欲不振、吐きけなどを伴うものの神経性胃炎、慢性胃炎、胃腸虚弱に適するとされる」
人参湯(ニンジントウ)
「体力虚弱で(虚)疲れやすくて手足が冷えやすいものの胃腸虚弱、下痢、嘔吐、胃痛、腹 痛、急・慢性胃炎に適すとされる。
下痢又は嘔吐に用いる場合には、漫然と長期の使用は避け、1週間位使用しても症状の改善がみられないときは、いったん使用を中止して専門家に相談がなされるべきである。
平胃散(ヘイイサン)
「体力中等度以上で(虚実)胃がもたれて消化が悪く、ときに吐き気、食後に腹がなって下痢の傾向のある人における食べすぎによる胃のもたれ、急・慢性胃炎、消化不良、食欲不振に適すとされる」
「急性胃炎に用いる場合には、漫然と長期の使用は避け、5~6回使用しても症状の改善がみられないときは、いったん使用を中止して専門家に相談がなされるなどの対応が必要である」
六君子湯(リックンシトウ)
「体力中等度以下(虚実)で胃腸が弱く、食欲がなく、みぞおちがつかえて疲れやすく、貧血症で手足が冷えやすいものの胃炎、胃腸虚弱、胃下垂、消化不良、食欲不振、胃痛、嘔吐に適す とされる」
「まれに重篤な副作用として、肝機能障害を生じることが知られている」
「これらはいずれも構成生薬としてカンゾウを含む」
瀉下作用を期待して用いられる生薬成分
センナ(マメ科のチンネベリセンナ
又はアレキサンドリアセンナの小葉を基原とする生薬)中に存在するセンノシドは、胃や小腸で消化されないが、大腸に生息する腸内細菌によって分解され、分解生成物が大腸を刺激して瀉下作用をもたらすと考えられている。
ダイオウ(タデ科のショウヨウダイオウ、タングートダイオウ、ダイオウ、チョウセンダイオウ又はそれらの種間雑種の通例、根茎を基原とする生薬)もセンナと同様、センノシドを含み、大腸刺激性瀉下成分として用いられる。
ダイオウは各種の漢方処方の構成生薬としても重要であるが、瀉下を目的としない場合には瀉下作用は副作用となる。
構成生薬にダイオウを含む漢方処方製剤では、瀉下作用の増強を生じて、腹痛、激しい腹痛を伴う下痢等の副作用が現れやすくなるため、瀉下薬の併用に注意する必要がある。
このほか、大腸刺激による瀉下作用を期待して、センノシドに類似の物質を含むアロエ(ユリ科のケープアロエ等の葉から得た液汁を乾燥したものを基原とする生薬)や、ジュウヤク(ドクダミ科のドクダミの花期の地上部を基原とする生薬)ケンゴシ(ヒルガオ科のアサガオの種子を基原とする生薬)等の生薬成分が配合されている場合もある。
刺激性瀉下成分が配合された瀉下薬は一般に、腸の急激な動きに刺激されて流産・早産を誘発するおそれがある。
特に、センナ及びセンノシドが配合された瀉下薬については、妊婦又は妊娠していると思われる女性では使用を避けるべきである。
膨潤性瀉下作用を期待してプランタゴオバタ(プランタゴ・オバタ)の種子又は種皮のような生薬成分も用いられる。
整腸作用に用いられる生薬成分
- ケツメイシ
- ゲンノショウコ
- アセンヤク
等の生薬成分が整腸作用を期待して配合されている場合もある。
日本薬局方収載のケツメイシ、ゲンノショ ウコについては、煎薬として整腸(便通を整える)腹部膨満感等に用いられる。
収斂作用を期待して用いられる生薬成分
- ゴバイシ
- オウバク
- オウレン
などが用いられる。
オウバク、オウレンは、収斂作用のほか、抗菌作用・抗炎症作用も期待して用いられる。
鎮痛鎮痙作用を期待して用いられる生薬成分
エンゴサク(ケシ科のエンゴサクの塊茎)シャクヤク(解熱鎮痛薬)等が配合されている場合がある。
腸の不調に用いられる漢方処方製剤
- 桂枝加芍薬湯
- 大黄甘草湯
- 大黄牡丹皮湯
- 麻子仁丸等
- 桂枝加芍薬湯
- 大黄甘草湯
桂枝加芍薬湯(ケイシカシャクヤクトウ)
体力中等度以下(虚実)で腹部膨満感のある人のしぶり腹、腹痛、下痢、便秘に適すとされる。
短期間の使用に限られるものでないが、1週間位服用して症状の改善がみられない場合には、いったん使用を中止して専門家に相談がなされるなどの対応が必要である。
大黄甘草湯(ダイオウカンゾウトウ)
体力に関わらず(関わらず)広く応用され、便秘、便秘に伴う頭重、のぼせ、湿疹・皮膚炎、ふきでもの(にきび)、食欲不振、腹部膨満、腸内異常発酵、痔などの症状の緩和に適すとされるが、体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)、胃腸が弱く下痢しやすい人 では、激しい腹痛を伴う下痢等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。
また、本剤を使用している間は、他の瀉下薬の使用を避ける必要がある。
大黄牡丹皮湯(ダイオウボタンピトウ)
体力中等度以下で(虚実)下腹部痛があって、便秘しがちなものの月経不順、月経困難、月経痛、便秘、痔じ 疾に適すとされるが、体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)、胃腸が弱 く下痢しやすい人では、激しい腹痛を伴う下痢等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。
便秘、痔疾に対して用いる場合には、1週間位服用しても症状の改善がみられないときは、いったん使用を中止して専門家に相談がなされるべきである。
麻子仁丸(マシニンガン)
残便感があり、繰り返し腹痛を伴い便意を催すもので、高齢者の便秘によく使われます。
桂枝加芍薬湯(ケイシカシャクヤクトウ)
体力中等度以下で(虚実)ときに便が硬く塊状なものの便秘、便秘に伴う頭重、のぼせ、湿疹・ 皮膚炎、ふきでもの(にきび)、食欲不振(食欲減退)、腹部膨満、腸内異常醗酵、痔の緩和 に適すとされるが、胃腸が弱く下痢しやすい人では、激しい腹痛を伴う下痢等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。
短期間の使用に限られるものでないが、5~6日間服用しても症状の改善がみられない場 合には、いったん使用を中止して専門家に相談がなされるべきである。
駆虫作用を期待して用いられる生薬成分
カイニン酸
回虫に痙攣を起こさせる作用を示し、虫体を排便とともに排出させることを目的として用 いられる。
カイニン酸を含む生薬成分として、マクリ(フジマツモ科のマクリの全藻を基原とする生薬)が配合されている場合もある。
強心薬に用いられる生薬成分
- センソ
- ゴオウ
- ジャコウ
- ロクジョウ
などの生薬成分が用いられる。
センソ
ヒキガエル科のシナヒキガエル等の毒腺の分泌物を集めたものを基原とする生薬で、微量で強い強心作用を示す。
皮膚や粘膜に触れると局所麻酔作用を示し、センソが配合された丸薬、錠剤等の内服固形製剤は、口中で噛かみ砕くと舌等が麻痺することがあるため、噛まずに服用することとされている。
有効域が比較的狭い成分であり、1日用量中センソ5mgを超えて含有する医薬品は劇薬に指定されている。
一般用医薬品では、1 日用量が 5mg 以下となるよう用法・用量が定められており、それに従って適正に使用され る必要がある。
なお、通常用量においても、悪心(吐き気)、(嘔吐)の副作用が現れることがある。
麝香(ジャコウ)
ジャコウは、シカ科のジャコウジカの雄の麝香腺分泌物(フェロモン)を基原とする生薬で、強心作用のほか、呼吸中枢を刺激して呼吸機能を高めたり、意識をはっきりさせる等の作用があるとされる。
牛黄(ゴオウ)
ゴオウは、ウシ科の牛の胆嚢中に生じた結石を基原とする生薬で、強心作用のほか、末梢血管の拡張による血圧降下、鎮静作用、解熱作用などがあるとされる。
※約千頭の牛に一頭しか見つからないと言われる高貴生薬で、昔は牛黄1キロと金1キロが同じくらいの価格だったされていました。
鹿茸(ロクジョウ)
ロクジョウは、シカ科のマンシュウアカジカ又はマンシュウジカの雄のまだ角化していない、若しくは、わずかに角化した幼角を基原とする生薬で強心作用の他、強壮、血行促進等の作用があるとされる。
これらは強心薬のほか、小児五疳薬(宇津救命丸)、滋養強壮保健薬(ユンケル黄帝液やゼナなど)等にも配合されている場合がある。
強心成分以外の配合成分
強心成分の働きを助ける効果を期待して、また、一部の強心薬では小児五疳薬や胃腸薬、 滋養強壮保健薬等の効能・効果を併せ持つものもあり、鎮静、強壮などの作用を目的とする生薬成分を組み合わせて配合されている場合が多い。
竜脳(リュウノウ)
中枢神経系の刺激作用による気つけの効果を期待して用いられる。
リュウノウ中に存在する主要な物質として、ボルネオールが配合されている場合もある。
アコヤ貝・真珠貝・黒蝶貝
シンジュウグイスガイ科のアコヤガイ、シンジュガイ又はクロチョウガイ等の外套膜組成中に病的に形成された顆粒状物質を基原とする生薬で、鎮静作用等を期待して用いられる。
その他の生薬成分
- 羚羊角(レイヨウカク)
- 沈香(ジンコウ)
- 動物胆(ユウタンを含む)
- サフラン
- 高麗人参(コウライニンジン)
- 淫羊蕾(インヨウカク)
等が配合されている場合がある。
※ 淫羊蕾については、中国古来の言い伝えで「インヨウカクの花の蕾を食べた羊が一晩中交尾し続けた」ことからこの名前がついたと言われています。
※ 牛黄は動物胆(ユウタン)は胃の不調を改善するために配合される生薬でもあります。
強心作用を期待して用いられる漢方処方製剤
苓桂朮甘湯(リョウケイジュツカントウ)
体力中等度以下で(虚実)めまい、ふらつきがあり、ときにのぼせや動悸があるものの立ちくらみ、頭痛、耳鳴り、動悸き 、息切れ、神経症、神経過敏に適すとされる。
強心作用が期待される生薬は含まれず、主に利尿作用により、水毒(漢方の考え方で、体の水分が停滞したり偏在して、その循環が悪いことを意味する)の排出を促すことを主眼とする。
構成生薬としてカンゾウを含む。
なお、高血圧、心臓病、腎臓病の診断を受けた人では、カンゾウ中のグリチルリチン酸による偽アルドステロン症を生じやすく、また、動悸や息切れの症状は、それら基礎疾患によっても起こることがある。
※ 漢方では水分代謝が悪くなり、体の上の方でたまるとめまいが起こると考えられています
循環器用薬に用いられる生薬成分
紅花(コウカ)
コウカには、末梢の血行を促して鬱血を除く作用 があるとされいて、日本薬局方収載のコウカを煎じて服用する製品は、冷え症及び血色不良に用いられています。
循環器用薬の漢方処方製剤
三黄瀉心湯(サンオウシャシントウ)
体力中等度以上で(虚実)のぼせ気味で顔面紅潮し、精神不安、みぞおちのつかえ、便秘傾向などのあるものの高血圧の随伴症状(のぼせ、肩こり、耳なり、頭重、不眠、不安)鼻血、痔出血、便秘、更年期障害、血の道症に適すとされるが、体の虚弱な人(体力の衰えている人、 体の弱い人)、胃腸が弱く下痢しやすい人、だらだら出血が長引いている人では、激しい腹痛 を伴う下痢等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。
※ 黄の字がつく3つの生薬、黄芩(オウゴン)、 黄連(オウレン)、 大黄(ダイオウ)で構成されていることから、「三黄瀉心湯」の名前がついています。
七物降下湯(シチモツコウカトウ)
体力中等度以下で(虚実)顔色が悪くて疲れやすく、胃腸障害のないものの高血圧に伴う随伴症状(のぼせ、肩こり、耳鳴り、頭重)に適すとされるが、胃腸が弱く下痢しやすい人では、胃部不快感等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。
また、小児向けの漢方処方ではなく、15歳未満の小児への使用は避ける必要がある。
外用痔疾用薬に用いられる生薬成分
紫紺(シコン)
体力中等度以上で口渇があり、尿量少なく、便秘するものの蕁麻疹、口内炎、湿疹、皮膚炎、皮膚のかゆみに適すとされるが、体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)、 胃腸が弱く下痢しやすい人では、激しい腹痛を伴う下痢等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。
セイヨウトチノミ
セイヨウトチノミ(セイヨウトチノキ種子) トチノキ科のセイヨウトチノキ(マロニエ)の種子を基原とする生薬で、血行促進、抗炎症等の作用を期待して用いられる。
内用痔疾用薬に用いられる生薬成分
痔に伴う症状の緩和を目的として
- センナ(又はセンノシド)
- ダイオウ
- カンゾウ
- ボタンピ
- トウキ
- サイコ
- オウゴン
- セイヨウトチノミ
- カイカ
- カイカク
などの生薬成分が配合されている場合がある。
オウゴン
オウゴンはシソ科のコガネバナの周皮を除いた根を基原とする生薬です。
セイヨウトチノミ
セイヨウトチノミはトチノキ科のセイヨウトチノキ(マロニエ)の種子を用いた生薬で、いずれも主に抗炎症作用を期待して用いられます。
カイカク
カイカはマメ科のエンジュの蕾を基原とする生薬、カイカクはマメ科のエンジュの成熟果実を基原とする生薬で、いずれも主に止血効果を期待して用いられる。
内用痔疾用薬に用いられる漢方処方製剤
乙字湯、 芎帰膠艾湯のいずれも、構成生薬としてカンゾウを含む。
乙字湯(オツジトウ)
体力中等度以上で大便が硬く、便秘傾向のあるものの痔核(いぼ痔)、切れ痔じ 、便秘、軽度の脱肛こうに適すとされるが、体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)、胃腸が弱く下 痢しやすい人では、悪心・嘔おう吐、激しい腹痛を伴う下痢等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。
乙字湯と言えば痔ですよね。
まれに重篤な副作用として、肝機能障害、間質性肺炎を生じることが知られている。
芎帰膠艾湯(キュウキキョウガイトウ)
体力中等度以下で(虚実)冷え症で、出血傾向があり胃腸障害のないものの痔出血、貧血、月経異常による不正出血・皮下出血に適すとされるが、胃腸が弱く下痢しやすい人では、胃部不快感、 腹痛、下痢等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。
尿路消毒に用いられる生薬成分
ウワウルシ
クヤコケモモの葉を基原とする生薬で利尿作用のほかに、経口的に摂取した後、尿中に排出される分解代謝物が抗菌作用を示し、尿路の殺菌消毒効果を
期待して用いられる。
日本薬局方収載のウワウルシは、煎薬として残尿感、排尿に際して不快感のあるものに用いられる。
尿量増加(利尿作用)を期待して配合される生薬
カゴソウ
シソ科のウツボグサの花穂を基原とする生薬で日本薬局方収載のカゴソウは、煎薬として残尿感、排尿に際して不快感のあるものに用いられる。
キササゲ
ノウゼンカズラ科のキササゲ等の果実を基原とする。
サンキライ
ユリ科のケナシサルトリイバラの塊茎を基原とする生薬
ソウハクヒ
クワ科のマグワの根皮を基原とする生薬で、日本薬局方収載のキササゲ、サンキライ、ソウハクヒは、煎薬として尿量減少に用いられる。
モクツウ
アケビ科のアケビ又はミツバアケビの蔓つる性の茎を、通例、横切りしたもの を基原とする生薬。
ブクリョウ
ブクリョウその他の生薬製剤を参照。
尿量増加を期待して用いる漢方製剤
牛車腎気丸(ゴシャジンキガン)
牛 車腎気丸は体力中等度以下(虚実)で、疲れやすくて、四肢が冷えやすく尿量減少し、むくみがあり、ときに口渇があるものの下肢痛、腰痛、しびれ、高齢者のかすみ目、痒み、排尿困難、頻尿、むくみ、高血圧に伴う随伴症状の改善(肩こり、頭重、耳鳴り)に適すとされるが、胃腸が弱く 下痢しやすい人、のぼせが強く赤ら顔で体力の充実している人では、胃部不快感、腹痛、の ぼせ、動悸き 等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。
まれに重篤な副作用として、肝機能障害、間質性肺炎を生じることが知られている。
八味地黄丸(ハチミヂオウガン)
体力中等度以下で、疲れやすくて、四肢が冷えやすく、尿量減少又は多尿でときに口渇があるものの下肢痛、腰痛、しびれ、高齢者のかすみ目、痒かゆみ、排尿困難、夜間尿、頻尿、む くみ、高血圧に伴う随伴症状の改善(肩こり、頭重、耳鳴り)、尿漏れに適すとされるが、胃腸 の弱い人、下痢しやすい人では、食欲不振、胃部不快感、腹痛、下痢の副作用が現れるおそ れがあるため使用を避ける必要があり、また、のぼせが強く赤ら顔で体力の充実している人では、のぼせ、動悸き 等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。
六味丸(ロクミガン)
体力中等度以下で、疲れやすくて尿量減少又は多尿で、ときに手足のほてり、口渇があるものの排尿困難、残尿感、頻尿、むくみ、痒かゆみ、夜尿症、しびれに適すとされるが、胃腸が
弱く下痢しやすい人では、胃部不快感、腹痛、下痢等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。
猪苓湯(チョレイトウ)
体力に関わらず、排尿異常があり、ときに口が渇くものの排尿困難、排尿痛、残尿感、頻尿、むくみに適すとされる。
竜胆瀉肝湯(リュウタンシャカントウ)
体力中等度以上で、下腹部に熱間や痛みがあるものの排尿痛、残尿感、尿の濁り、こしけ(おりもの)、頻尿に適すとされるが、胃腸が弱く下痢しやすい人では、胃部不快感、下痢等 の副作用が現れやすい等、不向きとされる。
婦人科用薬の生薬成分
サフラン・コウブシ
鎮静、鎮痛のほか、女性の滞っている月経を促す作用を期待して、サフラン(アヤメ科の サフランの柱頭を基原とする生薬)、コウブシ(カヤツリグサ科のハマスゲの根茎を基原とす る生薬)等が配合されている場合がある。
日本薬局方収載のサフランを煎じて服用する製品は、冷え症及び血色不良に用いられる。
センキュウ・トウキ・ジオウ
センキュウ(セリ科のセンキュウの根茎を、通例、湯通ししたものを基原とする生薬)トウキ(セリ科のトウキ又はホッカイトウキの根を、通例、湯通ししたものを基原とする生薬)、 ジオウ(ゴマノハグサ科のアカヤジオウ等の根又はそれを蒸したものを基原とする生薬)は、 に血行を改善し、血色不良や冷えの症状を緩和するほか、強壮、鎮静、鎮痛等の作用を期待して用いられる。
婦人科用薬の漢方処方製剤
女性の月経や更年期障害、血の道症に伴う諸症状の緩和に用いられる主な漢方処方製剤としては
- 温経湯(ウンケイトウ)
- 清飲(セイイン)
- 加味逍遙散(カミショウヨウサン)
- 桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)
- 五積散(ゴセキサン)
- 柴胡桂枝乾姜湯(サイコケイシカンキョウトウ)
- 四物湯(シモツトウ)
- 桃核承気湯(トウカクジョウキトウ)
- 当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)
などがあります。
これらのうち、
- 温経湯
- 加味逍遙散
- 五積散
- 柴胡桂枝乾姜湯
- 桃核承気湯
は構成生薬としてカンゾウを含む。
※)「血の道症」とは、月経、妊娠、出産、産後、更年期など女性のホルモンの変動に伴って現れる精神不安やいらだちなどの精神神経症状および身体症状を指します。
温経湯(ウンケイトウ)
体力中等度以下で、手足がほてり、唇が乾くものの月経不順、月経困難、こしけ(おりもの)、更年期障害、不眠、神経症、湿疹しん・皮膚炎、足腰の冷え、しもやけ、手あれに適すとさ れるが、胃腸の弱い人では、不向きとされる。
温清飲(ウンセイイン)
体力中等度(虚弱)で皮膚はカサカサして色つやが悪く、のぼせるものの月経不順、月経困難、血の道症、更年期障害、神経症、湿疹・皮膚炎に適すとされるが、胃腸が弱く下痢しやすい人 では胃部不快感、下痢等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。
まれに重篤な副作用として、肝機能障害を生じることが知られている。
※ 「黄連解毒湯」と「四物湯」を合わせた処方です。
加味逍遙散(カミショウヨウサン)
体力中等度以下でのぼせ感があり、肩がこり、疲れやすく、精神不安やいらだちなどの精神神経症状、ときに便秘の傾向のあるものの冷え症、虚弱体質、月経不順、月経困難、更年期障害、血の道症、不眠症に適すとされるが、胃腸の弱い人では悪心(吐きけ)、嘔おう吐、胃部不快感、下痢等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。
まれに重篤な副作用として、肝機能障害、腸間膜静脈硬化症を生じることが知られている。
桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)
比較的体力があり(実)ときに下腹部痛、肩こり、頭重、めまい、のぼせて足冷えなどを訴えるものの、月経不順、月経異常、月経痛、更年期障害、血の道症、肩こり、めまい、頭重、打ち身(打撲症)、しもやけ、しみ、湿疹しん・皮膚炎、にきびに適すとされるが、体の虚弱な人 (体力の衰えている人、体の弱い人)では不向きとされる。
まれに重篤な副作用として、肝機能障害を生じることが知られている。
五積散(ゴシャクサン)
体力中等度又はやや虚弱で冷えがあるものの胃腸炎、腰痛、神経痛、関節痛、月経痛、頭痛、更年期障害、感冒に適すとされるが、体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)、 胃腸の弱い人、発汗傾向の著しい人では、不向きとされる。
構成生薬としてマオウを含む。
柴胡桂枝乾姜湯(サイコケイシカンキョウトウ)
体力中等度以下で(虚実)冷え症、貧血気味、神経過敏で、動悸、息切れ、ときに寝汗、頭部の発汗、口の渇きがあるものの更年期障害、血の道症、不眠症、神経症、動悸、息切れ、かぜの後期の症状、気管支炎に適すとされる。
四物湯(シモツモウ)
体力虚弱(虚弱)で、冷え症で皮膚が乾燥、色艶の悪い体質(陰)で胃腸障害のないものの月経不順、月経異常、更年期障害、血の道症、冷え症、しもやけ、しみ、貧血、産後あるいは流産後の 疲労回復に適すとされるが、体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)、胃腸の弱い 人、下痢しやすい人では、胃部不快感、腹痛、下痢等の副作用が現れやすい等、不向きとさ れる。
桃核承気湯(トウカクジョウキトウ)
体力中等度以上で(虚実)、のぼせて便秘しがちなものの月経不順、月経困難症、月経痛、月経時 や産後の精神不安、腰痛、便秘、高血圧の随伴症状(頭痛、めまい、肩こり)痔疾、打撲症に適すとされるが、体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)、胃腸が弱く下痢しや すい人では、激しい腹痛を伴う下痢等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。
構成生薬としてダイオウを含む。
当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)
体力虚弱(虚弱)で、冷え症で貧血の傾向があり疲労しやすく、ときに下腹部痛、頭重、めまい、肩こり、耳鳴り、動悸などを訴えるものの月経不順、月経異常、月経痛、更年期障害、産前 産後あるいは流産による障害(貧血、疲労倦けん怠、めまい、むくみ)、めまい・立ちくらみ、頭重、肩こり、腰痛、足腰の冷え症、しもやけ、むくみ、しみ、耳鳴り、低血圧に適すとされ るが、胃腸の弱い人では、胃部不快感等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。

皮膚の症状を主とする人に適するとされる漢方製剤
- 茵蔯蒿湯(インチンコトウ)
- 十味敗毒湯(カンゾウ)
- 消風散(カンゾウ)
- 当帰飲子(カンゾウ)
茵蔯蒿湯(インチンコウトウ)
体力中等度以上で(虚実)口渇があり、尿量少なく、便秘するものの便秘するものの蕁麻疹、口内炎、皮膚の痒みに適すとされるが、体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)、胃腸が弱く下痢しやすい人では、激しい腹痛を伴う下痢等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。
十味敗毒湯(ジュウミハイドクトウ)
体力中等度(虚実)なものの皮膚疾患で発赤があり、ときに化膿するものの化膿性皮膚疾患・急性皮膚疾患の初期、蕁麻疹、湿疹・皮膚炎、水虫に適すとされるが、体の虚弱な人(体力の 衰えている人、体の弱い人)、胃腸が弱い人では不向きとされる。
短期間の使用に限られるものではないが、化膿性皮膚疾患・急性皮膚疾患の初期、急性湿疹に用いる場合は、漫然と長期の使用は避け、1週間位使用して症状の改善がみられないときは、いったん使用を中止して専門家に相談がなされるなどの対応が必要である。
消風散(ショウフウサン)
体力中等度以上(虚実)の人の皮膚疾患で、痒みが強くて分泌物が多いときに局所の熱感があるものの湿疹、皮膚炎、蕁麻疹、水虫、あせもに適すとされるが、体の虚弱な人(体力の衰え ている人、体の弱い人)胃腸が弱く下痢をしやすい人では、胃部不快感、腹痛等の副作用が 現れやすい等、不向きとされる。
当帰飲子(トウキインシ)
体力中等度(虚実)で冷え症で、皮膚が乾燥するものの湿疹、皮膚炎(分泌物が少ないものののかゆみ)に適すとされるが、胃腸が弱く下痢をしやすい人では、胃部不快感、腹痛等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。
鼻の症状を主とする人に適するとされる漢方製剤
鼻の症状を主とする人に適すとされる漢方製剤
- 葛根湯加川芎辛夷
- 小青竜湯
- 荊芥連翹湯
- 辛夷清肺湯
葛根湯加川芎辛夷(カッコントウカセンキュウシンイ)
比較的体力のあるもの(実)の鼻詰まり、蓄膿症、慢性鼻炎に適すとされるが、体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)胃腸が弱い人、発汗傾向の著しい人では、悪心、胃部不快感等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。
荊芥連翹湯(ケイガイレンギョウトウ)
体力中等度以上で(虚実)皮膚の色が浅黒くときに手足の裏に脂汗をかきやすく腹壁が緊張しているものの蓄膿症、慢性鼻炎、慢性扁桃炎にきびに適すとされるが、胃腸の弱い人では、胃部不快感等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。
まれに重篤な副作用として肝機能障害、間質性肺炎が現れることが知られている。
辛夷清肺湯(シンイセイハイトウ)
体力中等度以上で(虚実)濃い鼻水が出てときに熱感を伴うものの鼻づまり、慢性鼻炎、蓄膿症に適すとされるが、体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)胃腸虚弱で冷え症の人では、胃部不快感等の副作用が現れやすいなど、不向きとされている。
まれに重篤な副作用として肝機能障害、間質性肺炎、腸間膜静脈硬化症が現れることが知られている。
外用薬漢方処方製剤
紫雲膏(シウンコウ)
ひび、あかぎれ、しもやけ、うおのめ、あせも、ただれ、外傷、火傷、痔核による疼痛、肛門裂傷、湿疹・皮膚炎に適すとされるが、湿潤、ただれ、火傷又は外傷のひどい場合、傷口が化膿している場合、患部が広範囲の場合には不向きとされる。
中黄膏(チュウオウコウ)
急性化膿性皮膚疾患の初期、打ち身、捻挫に適すとされるが、湿潤、ただれ、 火傷又は外傷のひどい場合、傷口が化膿している場合、患部が広範囲の場合には不向きとさ れる。
捻挫、打撲、関節痛、腰痛、筋肉痛、肩こりに用いる貼り薬(パップ剤)とした製品 もある。
その他
- アルニカ(キク科のアルニカを基原とする生薬)
- サンシシ(アカネ科のクチナシの果実を基原とする生薬)
- オウバク
セイヨウトチノミ等の生薬成分が配合されている場合がある。
日本薬局方収載のオウバク末は、健胃又は止瀉の作用を期待して内服で用いられるが、外用では水で練って患部に貼り、打ち身、捻挫に用いられることがある。
頭皮毛根に用いる生薬成分
カシュウ
タデ科のツルドクダミツルドクダミの塊根を基原とする生薬で、頭皮における脂質代謝を高めて、余分な皮脂を取り除く作用を期待して用いられる。
チクセツニンジン
ウコギ科のトチバニンジンの根茎を、通例、湯通ししたものを基原とする生薬で、血行促進、抗炎症などの作用を期待して用いられる。
ヒノキチオール
ヒノキ科のタイワンヒノキ、ヒバ等から得られた精油成分で、抗菌、血行促進、抗炎症作用などを期待して用いられる。
骨や歯に用いられる生薬成分(外用)
サンシン
アカネ科のクチナシの果実を基原とする生薬で抗炎症作用を期待して用いられる。
カミツレ
キク科のカミツレの頭花を基原とする生薬で、抗炎症・抗菌作用などを期待して用いられる。
カミツレの成分であるアズレンスルホン酸ナトリウム(アズレン)が用いられる場合もある。
またラタニア、ミルラ等の生薬成分が配合されている場合がある。
※)ラタニア、ミルラに関する出題については、口腔咽喉薬(うがい薬)を参照のこと。
口内炎用薬に用いられる生薬成分
シコン
シコンはムラサキ科のムラサキの根を基原とする生薬で、組織修復促進、抗菌などの作用を期待して用いられる。
漢方処方製剤
茵蔯蒿湯(インチンコウトウ)
体力中等度以上(虚実)で口渇があり、尿量少なく、便秘するものの蕁麻疹、口内炎、湿疹、皮膚炎、皮膚のかゆみに適すとされるが、体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)、 胃腸が弱く下痢しやすい人では、激しい腹痛を伴う下痢等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。
構成生薬としてダイオウを含む。
滋養強壮に用いられる生薬
ニンジン・ジオウ・トウキ・センキュウの効能効果と留意点
これらが期待値以上配合されている生薬保健薬については
- 虚弱体質
- 肉体疲労
- 病中病後(又は、病後の体力低下)
- 胃腸虚弱
- 食欲不振
- 血色不良
- 冷え症
における滋養強壮の効能が認められています。
※)これらの生薬成分が期待値以下の場合は「清涼飲料水」扱いになります。
また、数種類の生薬をアルコールで抽出した薬用酒も、滋養強壮を目的として用いられる。(薬用養命酒など)
ただし、アルコールの作用で血行を促進させる作用があることから、手術や出産の直後等で出血しやすい人では使用を避ける必要がある。
また、アルコールなので服用後は乗り物又は機械類の運転操作等を避ける必要がある。
人参(ニンジン)
ウコギ科のオタネニンジンの細根を除いた根又はこれを軽く湯通ししたものを基原とする生薬で、オタネニンジンの根を蒸したものを基原とする生薬をコウジンということもある。
別名を高麗人参、朝鮮人参とも呼ばれます。
神経系の興奮や副腎皮質の機能亢進等の作用により、外界からのストレス刺激に対する抵抗力や新陳代謝を高めるとされます。
※昔、朝鮮半島から日本に伝わった高麗人参が、のちに薩摩藩(現在の鹿児島県)で生産されるようになってから、オタネニンジンと呼ばれるようになりました。
ジオウ・トウキ・センキュウ
婦人科薬を参照にする
牛黄(ゴオウ)鹿茸(ロクジョウ)
強心薬を参照にする
淫羊藿(インヨウカク)
インヨウカク(別名イカリソウ等の地上部を基原とする生薬)
淫羊藿を食べた羊が一晩中交尾し続けたという言い伝えからこの名前がついたと言われています。
イカリソウという別名は船のイカリに似ているためです。
反鼻(ハンピ)
内臓を取り除いたマムシを基原とする生薬です。
どちらも強壮・強精(性機能の亢進)・血行促進等の作用を期待して用いられます。
薏苡仁(ヨクイニン)
イネ科のハトムギの種皮を除いた種子を基原とする生薬で、肌荒れやイボに用いられます。
肌荒れなどに効果のあるビタミンB2やビタミンB6主薬製剤、瀉下薬などの補助成分として配合されてい る場合もあります。
ハトムギエキス配合の入浴剤や化粧水があるのも、このヨクイニンが肌荒れに良いからです。
大棗(タイソウ)
クロウメモドキ科のナツメの果実を基原とする生薬で強壮、利尿作用があり、食欲不振、不眠、咳、動悸、腹痛を伴う症状に効果があるとされている。
五味子(ゴミシ)
マツブサ科のチョウセンゴミシの果実を基原とする生薬で鎮咳、止瀉、滋養強壮として、気管支炎、 喘息などの痰の多いものの下痢などに用いる
※五味子の名前の由来は甘味、酸味、辛味、塩味、苦味の5つの味がするからと言われています。
山茱萸(サンシュユ)
ミズキ科のサンシュユの偽果の果肉を基原とする生薬で滋養、強壮作用を有します。
山薬(サンヤク)
ヤマノイモ科のヤマノイモ又はナガイモの周皮を除いた根茎(担根体)を基
原とする生薬で古くから「山のうなぎ」と言われるほど精力がつくことで知られている
黄耆(オウギ)
マメ科のキバナオウギ又はナイモウオウギ等の根を基原とする生薬でオタネ人参と並ぶ滋養強壮がある。
※黄耆の「耆(ぎ)」には、体力を補うために用いる補薬の長という意味が込められていて、ユンケルなどの栄養ドリンクに用いられることが多い。
また漢方薬では十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)」や「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」などにも配合されている。
何首烏(カシュウ)
滋養強壮、痒みどめの効能が知られている。
※中国では、何首烏を食した「何」という老人が、カラス(烏)のような黒々とした頭髪(首)が生えてきたこと、その後非常に長寿であったなどの言い伝えが残っています。
滋養強壮に用いられる漢方処方製剤
滋養強壮に用いられる主な漢方処方製剤として、十全大補湯、補中益気湯があります。
いずれも構成生薬としてカンゾウを含んでいます。
漢方処方製剤は、症状の原因となる体質の改善を主眼としているため、比較的長期間(1ヶ月位)服用されることがある。
十全大補湯(ジュウゼンダイホトウ)
体力虚弱なものの病後・術後の体力低下、疲労倦怠、食欲不振、寝汗、手足の冷え、貧血 に適すとされるが、胃腸の弱い人では、胃部不快感の副作用が現れやすい等、不向きとされる。
まれに重篤な副作用として、肝機能障害を生じることが知られている。
補中益気湯(ホチュウエッキトウ)
体力虚弱で元気がなく、胃腸の働きが衰えて、疲れやすいものの虚弱体質、疲労倦怠、病後・ 術後の衰弱、食欲不振、寝汗、感冒に適すとされる。
まれに重篤な副作用として、間質性肺炎、肝機能障害を生じることが知られている。
重要ポイントまとめ
登録販売者試験における重要ポイントは以下の通りです。
- 「しばり」
- 各漢方薬に「しばり」は一つしかない
- 漢方処方製剤の注意点
- 三大生薬の留意点
- その他の生薬の副作用
- 各漢方薬にしかない特徴
- 「文字の意味」
これらの内容から出題されることが多いのでしっかりと覚えて得点力アップしましょう!
コメント