みなさん こんにちは。
登録販売者Navi の中村です。
いつもありがとうございます😊
ところで、みなさんご存知の通り、登録販売者試験の問題は厚生労働省から公表される「試験問題作成の手引き」を元に、各都道府県又はブロックの担当者が作成しています。
登録販売者試験問題は設問形式に違いはあっても、基本的に説明文を読んで、正誤の判断が正しく出来るかを試すものです。
説明文のパターンは主に
- 主語が入れ替っている(全く違うものの説明になっている)
- 数字が異なる(年齢や量など)
- 文章の一部が誤っている(真逆になっている)
などです。
ですので、各説明文のポイントになる部分をしっかりと覚えることが得点力アップに直結します。
そこで、こちらの解説ではそのポイントとなると部分を黒い太字にしています。
また「このような問題が出るかも?」という予想と注意点をポイントごとに添えています。
さらに、実際に各成分を配合している商品とそのサイトも併せて載せています。
この解説がみなさんの理解度=合格力アップのお役に立てれば幸いです。
また、みなさんの理解がより深まるように、この記事の内容をYouTubeチャンネル「登録販売者Navi」でも配信する予定ですので、是非、そちらもご活用ください😊
歯痛・歯槽膿漏薬解説
歯痛薬(外用)

歯痛は、多くの場合、歯の齲蝕(虫歯)とそれに伴う歯髄炎によって起こります。
歯痛薬は、歯の齲蝕による歯痛を応急的に鎮めることを目的とする一般用医薬品で、歯の齲蝕が修復されることはないので、早めに医療機関を受診することが基本となります。
局所麻酔成分
局所麻酔成分は齲蝕により露出した歯髄を通っている知覚神経の伝達を遮断して痛みを鎮めることを目的として
- アミノ安息香酸エチル
- ジブカイン塩酸塩
- テーカイン
などの局所麻酔成分が用いられます。
☝️)試験問題では、歯髄が歯肉や歯肉溝、象牙質などに置き換えられ可能性がありますので、しっかりと覚えてください。
☝️)上記の3成分は覚えておきましょう。
製品例


冷感刺激を与えて知覚神経を麻痺させることによる鎮痛・鎮痒効果を期待して
- メントール
- カンフル
- ハッカ油
- ユーカリ油
などの冷感刺激成分が配合されている場合もあります。
☝️)「冷感刺激成分」と「局所麻酔成分」の入れ替え問題でも、間違えないようにしっかりと区別して覚えてください
殺菌消毒成分

齲蝕を生じた部分における細菌の繁殖を抑えることを目的として
- フェノール
- 歯科用フェノールカンフル
- オイゲノール
- セチルピリジニウム塩化物
などの殺菌消毒成分が用いられます。
粘膜刺激を生じることがあるため、歯以外の口腔粘膜や唇に付着しないように注意する必要があります。
生薬成分・サンシン
サンシシはアカネ科のクチナシの果実を基原とする生薬で、抗炎症作用を期待して用いられます。
歯槽膿漏薬
歯と歯肉の境目にある溝(歯肉溝)は細菌が繁殖しやすく、歯肉に炎症を起こすことがあります。

歯肉炎が重症化して、炎症が歯周組織全体に広がると歯周炎(歯槽膿漏)となります。
歯槽膿漏薬は、歯肉炎、歯槽膿漏の諸症状(歯肉からの出血や膿み、歯肉の腫れ、むずがゆさ、 口臭、口腔内の粘りなど)の緩和を目的とする医薬品です。
患部局所に適用する外用薬のほか、 内服で用いる歯槽膿漏薬もあります。
内服薬は、抗炎症成分、ビタミン成分などが配合されたもので、外用薬と併用すると効果的です。
殺菌消毒成分

歯肉溝での細菌の繁殖を抑えることを目的として
- セチルピリジニウム塩化物
- クロルヘキシジングルコン酸塩
- イソプロピルメチルフェノール
- チモール
などの殺菌消毒成分が配合されている場合があります。
「クロルヘキシジングルコン酸塩」が口腔内に適用される場合、まれに重篤な副作用としてショック(アナフィラキシー)を生じることがあります。
殺菌消毒作用のほか、抗炎症作用なども期待して
- ヒノキチオール
- チョウジ油(フトモモ科のチョウジのつぼみ又は葉を水蒸気蒸留して得た精油)
が配合されている場合もあります。
抗炎症成分
歯周組織の炎症を和らげることを目的として
- グリチルリチン酸二カリウム
- グリチルレチン酸
などが配合されている場合があります。
なお、口腔内に適用されるため、ステロイド性抗炎症成分が配合されている場合には、その含有量によらず長期連用を避ける必要があります。
☝️)ステロイド性抗炎症成分は、「長期連用を避ける」と覚えましょう。
止血成分
炎症を起こした歯周組織からの出血を抑える作用を期待して、カルバゾクロムが配合されている場合があります。
組織修復成分
炎症を起こした歯周組織の修復を促す作用を期待して、アラントインが配合されている場合があります。


生薬成分
カミツレ・ラタニア・ミルラなどの生薬成分が配合されている場合があります。
カミツレはキク科のカミツレの頭花を基原とする生薬で、抗菌、抗炎症作用を期待して用いられます。
内服薬
抗炎症成分
歯周組織の炎症を和らげることを目的として、グリチルリチン酸二カリウムが用いられます。
止血成分
炎症を起こした歯周組織からの出血を抑える作用を期待して、カルバゾクロムや血液の凝固機能を正常に保つ働きがあるフィトナジオン(ビタミンK)が配合されている場合があります。
組織修復成分

炎症を起こした歯周組織の修復を促す作用のほか、歯肉炎に伴う口臭を抑える効果も期待して、銅クロロフィリンナトリウムが配合されている場合があります。
ビタミン成分
コラーゲンの代謝を改善して炎症を起こした歯周組織の修復を助け、また、毛細血管を強化して炎症による腫れや出血を抑える効果を期待して、ビタミンC(アスコルビン酸、アスコルビン酸カルシウムなど)が配合されている場合があります。
歯周組織の血行促進効果を期待して、ビタミンE(トコフェロールコハク酸エステルカルシウム、トコフェロール酢酸エステルなど)が配合されている場合があります。
☝️)ビタミンCには毛細血管を強くする働きが、ビタミンEは血行促進作用があります。
相互作用
外用薬の場合、歯痛薬、歯槽膿漏薬のいずれについても、口腔内に食べ物のかすなどが残っている状態のままでは十分な効果が期待できず、口腔内を清浄にしてから使用することが重要です。
また、口腔咽喉薬、含嗽薬などを使用する場合には、十分な間隔を空ける必要があります。
内服で用いる歯槽膿漏薬については、同じ又は同種の成分が配合された医薬品(かぜ薬、鎮咳去痰薬、胃腸薬など)が併用された場合、作用が強すぎたり、副作用が現れやすくなるおそれがあります。
受診勧奨

歯痛は歯の齲蝕などに対する生体の警告信号で、歯痛薬の使用によって一時的に和らげることができたとしても、その繰り返しによって、やがて歯髄組織が壊死し、状態の悪化につながるおそれがあります。
歯痛は基本的に歯科診療を受けることが優先され、歯痛薬による対処は最小限(旅行中や夜間など、歯科診療を受けることが困難な場合)にとどめる必要があります。
歯周病(歯肉炎・歯槽膿漏)ついては、状態が軽いうちは自己治療が可能とされるが、日頃の十分な歯磨きなどによって、歯肉溝での細菌の繁殖を抑えることが重要です。

ただし、一般の生活者においては、十分な歯磨きがされたかどうかの判断は必ずしも容易でなく、また、歯石の沈着などによって歯周病が慢性化しやすくなっている場合もあります。
歯槽膿漏薬の使用により、症状を抑えられても、しばらくすると症状が繰り返し現れるような場合には、医療機関を受診するなどの対応が必要である。
口内炎用薬

口内炎用薬は、口内炎、舌炎の緩和を目的として口腔内局所に適用される外用薬です。
口内炎や舌炎は、いずれも口腔粘膜に生じる炎症で、代表的な口腔疾患です。
口腔の粘膜上皮に水疱や潰瘍ができて痛み、ときに口臭を伴います。
発生の仕組みは必ずしも解明されていませんが、栄養摂取の偏り、ストレスや睡眠不足、唾液分泌の低下、口腔内の不衛生などが要因となって生じることが多いとされています。
また、疱疹(ほうしん)、ウイルスの口腔内感染による場合や、医薬品の副作用として口内炎を生じる場合もあります。
代表的な配合成分と主な副作用
抗炎症成分

口腔粘膜の炎症を和らげることを目的として
- グリチルリチン酸二カリウム
- グリチルレチン酸
などの抗炎症成分が用いられます。
また、口腔粘膜の組織修復を促す作用を期待して、アズレン酸スルホン酸ナトリウム(水溶性アズレン)が配合されている場合もあります。
なお、口腔内に適用されるため、ステロイド性抗炎症成分が配合されている場合には、その含有量によらず長期連用を避ける必要があります。
殺菌消毒成分
患部からの細菌感染を防止することを目的として
- セチルピリジニウム塩化物
- クロルヘ キシジン塩酸塩
- アクリノール
- ポビドンヨード
などが配合されている場合があります。
生薬成分 「シコン」
シコンは、ムラサキ科のムラサキの根を基原とする生薬で、抗菌、組織修復促進などの作用を期待して用いられます。
商品例「口内炎パッチ大正A

漢方処方製剤(内服)
茵蔯蒿湯

体力中等度以上で口渇があり、尿量少なく、便秘するものの蕁麻疹、口内炎、湿疹、皮膚炎、皮膚のかゆみに適すとされますが、体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)、胃腸が弱く下痢しやすい人では、激しい腹痛を伴う下痢などの副作用が現れやすいなど、不向きとされます。
☝️)口内炎に効く漢方処方製剤と言えば「茵蔯蒿湯」です。
構成生薬としてダイオウを含みます。
まれに重篤な副作用として肝機能障害が起こることが知られています。
短期間の使用に限られるものではありませんが、1週間くらい使用しても症状の改善がみられないときは、いったん使用を中止して専門家に相談するなどの対応が必要です。
相互作用
口腔内を清浄にしてから使用することが重要で、含嗽薬、口腔咽頭薬などを使用する場合には、十分な間隔を置く必要があります。
受診勧奨

口内炎や舌炎は、通常であれば1~2週間で自然寛解しますが、一度に複数箇所に発生して食事に著しい支障を来すほどの状態であれば、医療機関を受診するなどの対応が必要です。
口内炎や舌炎が長期間にわたって症状が長引いている場合には、口腔粘膜に生じた潰瘍の可能性もあります。
☝️)長引いていれば潰瘍かも知れません。
また、再発を繰り返す場合には、ベーチェット病などの可能性も考えられますので、医療機関を受診するなどの対応が必要です。
☝️)「再発ならベーチェット病」と覚えてください。

何らかの疾病のため医療機関で治療を受けている人では、処方された薬剤による副作用の可能性も考慮し、治療を行っている医師又は処方薬の調剤を行った薬剤師に相談するなどの対応が必要です。
一般用医薬品にも副作用として口内炎などが現れることがあるものがありますが、一般の生活者に
おいては、それが副作用による症状と認識されずに、口内炎用薬による対処を図ろうとすることも考えられます。
登録販売者においては、口内炎用薬を使用しようとする人における状況の把握に努めることが重要です。
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