鼻炎用点鼻薬の成分とその働き・使用方法・注意点まとめ
3つの鼻炎
鼻炎は大きく3つに分類されます。
先ずはそれぞれの違いを確認しておきましょう!
急性鼻炎
急性鼻炎は、鼻の粘膜に付着したウイルスや細菌が原因で起こる鼻粘膜の炎症で、一般的には、かぜを伴って現れることが多い症状です。
アレルギー性鼻炎

アレルギー性鼻炎はハウスダストや花粉などのアレルゲンに対する過敏反応によって引き起こされます。
中でも、スギやヒノキ、稲などの花粉がアレルゲンとなって生じるものを一般的に花粉症と呼びます。
副鼻腔炎

副鼻腔炎は、こうした鼻粘膜の炎症が副鼻腔にも及んだもので、慢性のものは一般に蓄膿症と呼ばれます。
鼻炎用点鼻薬とは?

鼻炎用点鼻薬はスプレー式で鼻腔内に噴霧するものが多く、急性鼻炎、アレルギー性鼻炎、または副鼻腔炎による鼻づまり、鼻みず、くしゃみ、頭重(頭が重い)などの緩和に使用されます。
鼻炎用点鼻薬のメリット

鼻炎用点鼻薬は飲み薬と違い、局所的に使用するため、「速効性がある」「眠くなりにくい」「コップやお水がなくても使用出来る」などのメリットがあります。
鼻炎用点鼻薬の4つの注意点

【1】噴霧後に鼻汁とともに逆流する場合があるので、使用前に鼻をよくかんでおく。
【2】使用後には鼻に接した部分を清潔なティッシュペーパーなどで拭き取って、必ずキャップを閉めた状態で保管し清潔に保つ。
【3】汚染を防ぐために、容器はなるべく直接鼻に触れないようにする。
【4】他人と点鼻薬を共有しないようにする。

鼻炎用点鼻薬に使用される6つの成分
【1】アドレナリン作動成分

交感神経を優位にして、鼻粘膜を通っている血管を収縮させて鼻粘膜の充血や腫れを和らげることを目的として、以下の成分などが用いられています、
- ナファゾリン塩酸塩
- フェニレフリン塩酸塩
- テトラヒドロゾリン塩酸塩
アドレナリン作動成分の2つの副作用
(1)アドレナリン作動成分が配合された点鼻薬は、過度に使用されると鼻粘膜の血管が反応しなくなり、逆に血管が拡張して二次充血を招き、鼻づまりがひどくなりやすい。
(2)点鼻薬は局所(鼻腔内)に適用されるものであるが、成分が鼻粘膜を通っている血管から吸収されて循環血液中に入りやすく、全身的な影響を生じる場合もあります。
【2】抗ヒスタミン成分

アレルギー性鼻炎にはヒスタミンが関与しています。
また、急性鼻炎の場合でも、鼻粘膜が刺激に対して敏感になるので、肥満細胞からヒスタミンが遊離して、くしゃみや鼻水などを生じやすくなります。
そんな「ヒスタミン」の働きを抑えることで、それらの症状の緩和することを目的として、
- クロルフェニラミンマレイン酸塩
- ケトチフェン
などが配合されます。
【3】抗アレルギー成分

抗アレルギー成分クロモグリク酸ナトリウムは、肥満細胞からヒスタミンの遊離を抑えて、花粉やハウスダストなどのによるアレルギー症状の緩和を目的として、通常、抗ヒスタミン成分と併せて配合されます。
抗アレルギー成分の7つの注意点

(1)アレルギー性でない鼻炎や副鼻腔炎に対しては効果がありません。
(2)3日間使用して症状の改善がみられない場合には、アレルギー以外の原因による可能性が考えられます。
(3)医療機関において減感作療法などのアレルギーの治療を受けている人は、その妨げとなるおそれがあるので、使用前に治療を行っている医師又は処方薬の調剤を行った薬剤師に相談すること。
(4)まれに重篤な副作用として、アナフィラキシーを生じることがあります。
(5)その他の副作用として、鼻出血や頭痛が現れることがあります。
(6)症状の改善がみられた場合でも、2週間を超えて使用した場合の有効性、安全性に関する科学的データは限られています。
(7)鼻アレルギーの要因に対する改善策として、花粉やハウスダストなどのアレルゲンの除去や回避策を講じることも重要です。
【4】局所麻酔成分

鼻粘膜の過敏性や痛みや痒みを抑える目的で「リドカイン」「リドカイン塩酸塩」などの局所麻酔成分が配合される場合があります。
【5】殺菌消毒成分

鼻粘膜を清潔に保ち、細菌による二次感染を防ぐすることを目的として、
- ベンザルコニウム塩化物
- ベンゼトニウム塩化物
- セチルピリジニウム塩化物
などが配合されます。
いずれも陽性界面活性成分で、黄色ブドウ球菌、溶血性連鎖球菌又 はカンジダなどの真菌類に対する殺菌消毒作用を示しますが、結核菌やウイルスには効果はありません。
【6】抗炎症成分

鼻粘膜の炎症を和らげることを目的として「グリチルリチン酸二カリウム」が配合されている場合があります。
2つの相互作用
【1】アドレナリン作動成分
アドレナリン作動成分は以下の医薬品にも配合されている場合があります。
- 鎮咳去痰薬(気管支拡張成分)
- 外用痔疾用薬(止血成分)
- 点眼薬(結膜の充血除去)
【2】抗ヒスタミン成分
抗ヒスタミン成分は以下の医薬品にも配合されている場合があります。
- かぜ薬(鼻水を止める)
- 睡眠改善薬(眠気を誘う)
- 乗り物酔い防止薬(揺れを感じにくくする)
これらの医薬品と併用した場合、 同じ目的の成分が重複して、効き目が強すぎたり、副作用が現れるおそれがあるので、登録販売者として販売する際には説明しましょう。
受診勧奨の4つのポイント

【1】OTC医薬品の鼻炎用点鼻薬の適応範囲は急性又はアレルギー性鼻炎とそれに伴う副鼻腔炎で、蓄膿症などの慢性のものは対象となっていません。
【2】アドレナリン作動成分のように、鼻以外の器官や臓器に影響を及ぼす可能性がある成分も
配合されているので、3日位使用しても症状の改善がみられなければ、耳鼻咽喉科の受診をお勧めしましょう。
【3】風邪などに伴う鼻炎の場合は、鼻炎が長引くと、副鼻腔炎や中耳炎などにつながることもあるため、そのような症状の兆しがあれば、早めに医療機関を受診するようにお勧めましょう。
【4】鼻粘膜が腫れてポリープとなっている場合には、OTC医薬品での対処は不適当で、医療機関で、ステロイド性抗炎症成分を含む点鼻薬の処方などが必要になります。
製品例
ナザール「スプレー」


ナザールαAR0.1%


新ルル点鼻薬


まとめ
いかがでしょうか。
今回は「鼻炎用点鼻薬の成分とその働き、使用方法と注意点」をまとめました。
鼻炎用点鼻薬は、使用される成分はどれも似通っています。
登録販売者としては、使用方法や保管方法に関する注意点をしっかりとお伝えすることが重要ではないでしょうか?
今回の内容が登録販売者のみなさんの実務のお役に立てば幸いです♪

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