薬事関係法規・制度
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律の目的等

一般用医薬品の販売に関連する法令のうち、最も重要な法令は「医薬品、医療機器等の品質、有効性、安全性の確保等に関する法律」で、この法第1条において、以下のことを定めています。
法第一条
「この法律は、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品の品質、有効性及び安全性の確保、並びにこれらの使用による保健衛生上の危害及び拡大の防止のために必要な規制を行うとともに、指定薬物の規制に関する措置を講ずるほか、医療上特にその必要性が高い医薬品、医療機器及び再生医療等製品の研究開発の促進のために必要な措置を講ずることにより、保健衛生の向上を図ることを目的とする」
法第一条の4
医薬品等の製造販売、製造、販売、貸与若しくは修理を業として行う者、第4条第1項の 許可を受けた者(以下「薬局開設者」という)又は病院、診療所若しくは飼育動物診療施設(略) の開設者は、その相互間の情報交換を行うことその他の必要な措置を講ずることにより、医薬品等の品質、有効性、安全性の確保並びにこれらの使用による保健衛生上の危害の発生及び拡大の防止に努めなければならない」
法第1条の5第1項
医師、歯科医師、薬剤師、獣医師その他の医薬関係者(登録販売者)は、医薬品等の有効性及び安全性、その他これらの適正な使用に関する知識と理解を深めるとともに、これらの使用の対象者(略)及びこれらを購入し、又は譲り受けようとする者に対し、これらの適正な使用に関する事項に関する正確かつ適切な情報の提供に努めなければならない

よって、登録販売者は、購入者等に対して正確かつ適切な情報提供が行えるよう「日々最新の情報の入手、自らの研鑽に努める必要」があります。
このため、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則(※)に基づき、薬局開設者、店舗販売業者又は配置販売業者は、その薬局、店舗又は区域において業務に従事する登録販売者に対し、厚生労働省大臣に届出を行った研修実施機関が行う研修(いわゆる外外部研修)を毎年受講させなければならないこととされています。

※)第2類・第3類医薬品を扱う登録販売者は、定期的かつ継続的に外部研修(継続研修)を受けることが義務化されています。
さらに、法第1条の6においては、国民の役割として、「国民は、医薬品等を適正に使用するとともに、これらの有効性及び安全性に関する知識と理解を深めるよう努めなければならない」とされており、購入者が求める知識、理解に応えることが求められています。
登録販売者

登録販売者は、以下の様に規定されています。
一般用医薬品の販売又は授与に従事しようとする者がそれに必要な資質を有することを確認するために都道府県知事が行う試験(登録販売者試験)に合格した者であって、医薬品の販売又は授与に従事しようとするものは、都道府県知事の登録を受けなければならないとされており、申請者が法第5条第3号に該当する場合は、その登録を受けることができないとされています。

この都道府県知事が行う試験(登録販売者試験)の受験に当たっては、一定の学歴や実務経験を要することとされていましたが、実務経験の不正証明などの事案を受け、平成27年度以降の試験においては、この受験資格を撤廃し、管理者又は管理代行者となる登録販売者に一定の実務経験が必要とされました。

販売従事登録の申請については、次のように規定されています。
【1】「販売従事登録を受けようとする者は、申請書を医薬品の販売又は授与に従事する薬局又は医薬品の販売業の店舗の所在地の都道府県知事(配置販売業にあつては、配置しようとする区域の都道府県知事、以下この条において同じ)に提出しなければならない」
【2】前項の申請書には、次に掲げる書類を添えなければならない。
【3】二以上の都道府県において販売従事登録を受けようと申請した者は、当該申請を行つた都道府県知事のうちいずれか一の都道府県知事の登録のみを受けることができる。(2つ以上の都道府県に販売従事登録は出来ません)
- 販売従事登録を受けようと申請する者(以下この項において「申請者」という)が登録販売者試験に合格したことを証する書類(合格証)
- 申請者の「戸籍謄本、戸籍抄本、戸籍記載事項証明書又は本籍の記載のある住民票の写し」、若しくは「住民票記載事項証明書」(登録販売者試験の申請時から氏名又は本籍に変更があった者については、戸籍謄本、戸籍抄本又は戸籍記載事項証明書、日本国籍を有していない者については、住民票の写し、又は住民票記載事項証明書)
- 申請者が「精神の機能の障害により業務を適正に行うに当たつて必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができないおそれがある者である場合」は、当該申請者に係る精神 の機能の障害に関する医師の診断書
- 申請者が薬局開設者又は医薬品の販売業者でないときは、雇用契約書の写し、その他薬局 開設者又は医薬品の販売業者の申請者に対する使用関係を証する書類(雇用証明書)

【4】法第三十六条の八第三項において準用する法第五条第三号ヘの厚生労働省令で定める者は、精神の機能の障害により登録販売者の業務を適正に行うに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者とする
また、販売従事登録を行うため、都道府県に登録販売者名簿を備え、次に掲げる事項を登録するとされています。
- 登録番号及び登録年月日
- 本籍地都道府県名(日本国籍を有していない者については、その国籍)、氏名、生年月日及び性別
- 登録販売者試験合格の年月及び試験施行地都道府県名
- 前各号に掲げるもののほか、適正に医薬品を販売するに足るものであることを確認するために都道府県知事が必要と認める事項
都道府県知事は、販売従事登録を行ったときは、当該販売従事登録を受けた者に対して、登録証を交付しなければならないとされています。
なお、登録販売者は、登録事項に変更を生じたときは、30日以内に、その旨を届けなければならないとされており、届出をするには、変更届に届出の原因たる事実を証する書類を添え、登録を受けた都道府県知事に提出しなければならないとされています。

また、登録販売者は一般用医薬品の販売又は授与に従事しようとしなくなったときは、30日以内に、登録販売者名簿の登録の消除を申請しなければならないとされており、登録販売者が死亡し、又は失踪の宣告を受けたときは、戸籍法による死亡又は失踪の届出義務者は、30日以内に、登録販売者名簿の登録の消除を申請しなければならないとされています。
さらに、登録販売者が精神の機能の障害を有する状態となり登録販売者の業務の継続が著しく困難になったときは、遅滞なく、登録を受けた都道府県知事にその旨を届け出ることとされています。
加えて、都道府県知事は登録販売者が次の各号のいずれかに該当する場合には、その登録を消除しなければならないとされています。
- 第一項又は第二項の規定による申請がされ、又は、登録販売者が死亡し、若しくは失踪の宣告を受けたことが確認されたとき
- 法第五条第三号イからトまでのいずれかに該当するに至つたとき
- 偽り、その他不正の手段により販売従事登録を受けたことが判明したとき
(※)医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則の一部を改正する省令による改正後(令和4年4月1日施行)。
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