みなさん こんにちは😊
ところで、みなさんご存知の通り、登録販売者試験の問題は厚生労働省から公表される「試験問題作成の手引き」を元に、各都道府県又はブロックの担当者が作成しています。
登録販売者試験問題は設問形式に違いはあっても、基本的に説明文を読んで、正誤の判断が正しく出来るかを試すものです。
説明文のパターンは主に
- 主語が入れ替っている(全く違うものの説明になっている)
- 数字が異なる(年齢や量など)
- 文章の一部が誤っている(真逆になっている)
などです。
ですので、各説明文のポイントになる部分をしっかりと覚えることが得点力アップに直結します。
そこで、こちらの解説ではそのポイントとなると部分を黒い太字にしています。
また「このような問題が出るかも?」という予想と注意点をポイントごとに添えています。
さらに、実際に各成分を配合している商品とそのサイトも併せて載せています。
この解説がみなさんの理解度=合格力アップのお役に立てれば幸いです。
また、みなさんの理解がより深まるように、この記事の内容をYouTubeチャンネル「登録販売者Navi」でも配信する予定ですので、是非、そちらもご活用ください😊
内服アレルギー用薬
アレルギーの症状、薬が症状を抑える仕組み

主なアレルゲンは
- 小麦、卵、乳、そば、落花生、えび、かになどの食品
- ハウスダスト(室内塵)
- 家庭用品が含有する化学物質
- 金属
などが知られていて、どのような物質がアレルゲン(抗原)なってアレルギーを生じるかは、人によって異なります。
また、複数の物質がアレルゲンとなることもあります。
さらに、アレルゲンには杉やヒノキ、ブタクサのように季節性のもの(いわゆる花粉症)もあります。

アレルゲンが皮膚や粘膜から体内に入り込むと、その物質を認識した免疫グロブリン(IgE抗体)によって肥満細胞が刺激されて、細胞間の刺激の伝達を担うヒスタミンやプロスタグランジンなどが遊離します。
肥満細胞から遊離したヒスタミンは、周囲の器官や組織の表面に分布する特定のタンパク質(受容体)と反応することで、血管拡張(血管の容積が拡張する)、血管透過生亢進(血漿タンパク質が組織中に漏れ出す)の作用を示します。
内服アレルギー用薬は、「蕁麻疹や湿疹、かぶれ及びそれらに伴う皮膚のかゆみ又は鼻炎」に用いられる内服薬の総称で、主にヒスタミンの働きを抑える抗ヒスタミン成分を配合されています。
鼻炎用内服薬

抗ヒスタミン成分には「急性鼻炎、アレルギー性鼻炎又は副鼻腔炎」による諸症状の緩和を目的として
- 鼻粘膜の充血や腫れを和らげるアドレナリン作動成分
- 鼻汁分泌やくしゃみを抑える坑コリン成分
などを組み合わせて配合したものを「鼻炎用内服薬」といいます。
その他の蕁麻疹

なお、蕁麻疹についてはアレルゲンとの接触以外に、皮膚への物理的な刺激などによってヒスタミンが肥満細胞から遊離して生じる
- 寒冷蕁麻疹
- 日光蕁麻疹
- 心因性蕁麻疹(ストレス)
などが知られています。
また、食品(特にサバなどの生魚)が傷むと、ヒスタミンやヒスタミンに類似した物質(ヒスタミン様物質)が生成することがあり、それによって生じる蕁麻疹もあります。
代表的な配合成分等、主な副作用
抗ヒスタミン成分

肥満細胞から遊離したヒスタミンが受容体と反応するのを妨いで、ヒスタミンの働きを抑える抗ヒスタミン成分として
- クロルフェニラミンマレイン酸塩
- カルビノキサミンマレイン酸塩
- クレマスチンフマル酸塩
- ジフェンヒドラミン塩酸塩
- ジフェニルピラリン塩酸塩
- ジフェニルピラリンテオクル酸塩
- トリプロリジン塩酸塩
- メキタジン
- アゼラスチン
- エメダスチン
- ケトチフェンフマル酸塩
- エピナスチン塩酸塩
- フェキソフェナジン塩酸塩
- ロラタジン
などがあります。
メキタジンについては、まれに重篤な副作用として「アナフィラキシーや肝機能障害、血小板減少」を生じることがあります。
内服薬として摂取された抗ヒスタミン成分は、吸収されて循環血液中に入り全身的に作用します。
例えば、ヒスタミンは脳の下部にある「睡眠と覚醒」に大きく関与する部位において「覚醒の維持と調節」を行う働きを担っているため、抗ヒスタミン成分によりヒスタミンの働きが抑えられると眠気が促されます。

重大な事故につながるおそれがあるため、抗ヒスタミン成分が配合された内服薬を服用した後は、「乗物又は機械類の運転操作」を避けることとされています。
ジフェンヒドラミン塩酸塩、ジフェンヒドラミンサリチル酸塩などのジフェンヒドラミンを含む成分については、吸収されたジフェンヒドラミンの一部が乳汁に移行して乳児に昏睡を生じるおそれがあるため、母乳を与える女性は使用を避けか、使用する場合には授乳を避ける必要があります。

また、抗ヒスタミン成分は、ヒスタミンの働きを抑える作用以外に「抗コリン作用」も示すため、「排尿困難や口渇、便秘」の副作用が現れることがあります。
「排尿困難の症状がある人」「緑内障の診断を受けた人」では、症状の悪化を招くおそれがあり、使用する前にその適否につき、治療を行っている医師又は処方薬の調剤を行った薬剤師に相談がなされるべきです。
抗炎症成分

皮膚や鼻粘膜の炎症を和らげることを目的としてて
- グリチルリチン酸二カリウム
- グリチルリチン酸
- グリチルリチン酸モノアンモニウム
- トラネキサム酸
などが配合されている場合があります。
生薬成分として、グリチルリチン酸を含むカンゾウが用いられることがあります。
アドレナリン作動成分

鼻炎用内服薬では、交感神経系を刺激して鼻粘膜の血管を収縮させることによって鼻粘膜の充血や腫れを和らげることを目的として
- プソイドエフェドリン塩酸塩
- フェニレフリン塩酸塩
- メチルエフェドリン塩酸塩
などのアドレナリン作動成分が配合されている場合があります。
「メチルエフェドリン塩酸塩」については、血管収縮作用により痒みを鎮める効果を期待して、アレルギー用薬でも用いられることがあります。
内服薬として摂取されたアドレナリン作動成分は、吸収されて循環血液中に入り全身的に作用します。
「プソイドエフェドリン塩酸塩」については、他のアドレナリン作動成分に比べて中枢神経系に対する作用が強く、副作用として不眠や神経過敏が現れることがあります。

また、交感神経系に対する刺激作用によって心臓血管系や肝臓でのエネルギー代謝などへの影響も生じやすく、「心臓病、高血圧、糖尿病又は甲状腺機能障害の診断を受けた人、前立腺肥大による排尿困難の症状がある人」では、症状を悪化させるおそれがあり、使用を避ける必要があります。
自律神経系を介した副作用として、「めまいや頭痛、排尿困難」が現れることがあります。

パーキンソン病の治療のため医療機関でセレギリン塩酸塩などの「モノアミン酸化酵素害剤」が処方ている人が、プソイドエフェドリン塩酸塩が配合された鼻炎用内服薬を使用した場合、体内でのプソイドエフェドリンの代謝が妨げられて、副作用が現れやすくなるおそれが高く、使用を避ける必要があります。
登録販売者においては、プソイドエフェドリン塩酸塩が配合された鼻炎用内服薬の購入者などに対して、その医薬品を使用しようとする人が「モノアミン酸化酵素阻害剤」で治療を受けている可能性がある場合には、治療を行っている医師又は処方薬の調剤を行った薬剤師に事前に確認するよう説明がなされることが重要てす。
なお、「プソイドエフェドリン塩酸塩、メチルエフェドリン塩酸塩」については、依存性があるので、長期間にわたって連用された場合、薬物依存につながるおそれがあります。
抗コリン成分

鼻炎用内服薬では、鼻腔内の粘液分泌腺からの「粘液の分泌」を抑えるとともに、鼻腔内の刺激を伝達する副交感神経系の働きを抑えることによって、鼻汁分泌やくしゃみを抑えることを目的として、「ベラドンナ総アルカロイド」「ヨウ化イソプロパミド」などの抗コリン成分が配合されている場合があります。
ベラドンナはナス科の草本で、その葉や根に「副交感神経系」から放出されるアセチルコリンの働きを抑える作用を示すアアルカロイドを含んでいます。
ビタミン

皮膚や粘膜の健康維持・回復に重要なビタミンを補給することを目的として
- ビタミンB6(ピリドキサールリン酸エステル、ピリドキシン塩酸塩)
- ビタミンB2(リボフラビンリン 酸エステルナトリウムなど)
- パンテノール
- パントテン酸カルシウム
- ビタミンC(アスコ ルビン酸など)
- ニコチン酸アミド
なとが配合されている場合があります。
生薬成分

シンイ
モクレン科のMagnolia biondii Pampanini、ハクモクレン、Magnolia sprengeri Pampanin又はコブシタムシバ、コブシの蕾を基原とする生薬で「鎮静、鎮痛」の作用を期待して用いられます。
サイシン
ウマノスズクサ科のケイリンサイシン又はウスバサイシンの根及び根茎を基原とする生薬で、鎮痛、鎮咳、利尿などの作用を有するとされ、鼻閉への効果を期待して用いられます。
ケイガイ
シソ科のケイガイの花穂を基原とする生薬で、発汗、解熱、鎮痛等の作用を有するとされ、鼻閉への効果を期待して用いられます。
漢方処方製剤

漢方の考え方に基づくと、生体に備わっている自然治癒の働きに不調を生じるのは、体内における様々な循環がバランスよく行われないことによるとされています。
また、漢方処方製剤では、使用する人の体質と症状にあわせて漢方処方が選択されることがとても重要です。
皮膚の症状を主とする人に適すとされる漢方処方製剤
茵蔯蒿湯、十味敗毒湯、 消風散、当帰飲子など。
鼻の症状を主とする人に適すとされる漢方処方製剤
葛根湯加川芎辛夷、小青竜湯、荊芥連翹湯、辛夷清肺湯など。
これらのうち茵蔯蒿湯、辛夷清肺湯を除き、いずれも構成生薬としてカンゾウを含みます。
また、葛根湯加 川芎辛夷は、構成生薬としてマオウを含みます。
茵蔯蒿湯
体力中等度以上で口渇があり、尿量少なく、便秘するものの蕁麻疹、口内炎、湿疹・皮膚炎、皮膚の痒みに適すとされるが、体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)胃腸が弱く、下痢しやすい人では、激しい腹痛を伴う下痢等の副作用が現れやすい等、不向きとされます。
十味敗毒湯

体力中等度なものの皮膚疾患で、発赤があり、ときに化膿するものの化膿性皮膚疾患・急性皮膚疾患の初期、蕁麻疹、湿疹、皮膚炎、水虫に適すとされるが、体の虚弱な人(体力の 衰えている人、体の弱い人)胃腸が弱い人では不向きとされます。
化膿性皮膚疾患・急性皮膚疾患の初期、急性湿疹に用いる場合は、漫然と長期の使用は避け、1週間くらい使用して症状の改善がみられないときは、いったん使用を中止して専門家に相談がなされるなどの対応が必要です。
消風散

体力中等度以上の人の皮膚疾患で、痒みが強くて分泌物が多く、ときに局所の熱感があるものの湿疹、皮膚炎、蕁麻疹、水虫、あせもに適すとされるが、体の虚弱な人(体力の衰え ている人、体の弱い人)、胃腸が弱く下痢をしやすい人では、胃部不快感、腹痛等の副作用が 現れやすいなど、不向きとされます。
当帰飲子

体力中等度以下で冷え性で、皮膚が乾燥するものの湿疹、皮膚炎(分泌物の少ないもの)、かゆみに適すとされるが、胃腸が弱く下痢をしやすい人では、胃部不快感、腹痛なとの副作用が現れやすいなど、不向きとされます。
葛根湯加川芎辛夷

比較的体力があるものの鼻づまり、蓄膿症(副鼻腔炎)、慢性鼻炎に適すとされるが、体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)胃腸が弱い人、発汗傾向の著しい人では、悪心、胃部不快感などの副作用が現れやすいなど、不向きとされます。
荊芥連翹湯

体力中等度以上で皮膚の色が浅黒く、ときに手足の裏に脂汗をかきやすく、腹壁が緊張しているも
のの蓄膿症(副鼻腔炎)慢性鼻炎、慢性扁桃炎、にきびに適すとされますが、胃腸の弱い人では、胃部不快感などの副作用が現れやすいなど、不向きとされます。
まれに重篤な副作用として肝機能障害、間質性肺炎が現れることが知られています。
辛夷清肺湯

体力中等度以上で、濃い鼻汁が出て、ときに熱感を伴うものの鼻づまり、慢性鼻炎、蓄膿症に適すとされます。
相互作用

一般用医薬品のアレルギー用薬(鼻炎用内服薬を含む)には、複数の有効成分が配合されている場合が多く、他のアレルギー用薬(鼻炎用内服薬を含む)抗ヒスタミン成分、アドレナリン作動成分又は抗コリン成分が配合された医薬品(かぜ薬、睡眠補助薬、乗物酔い防止薬、鎮咳去痰薬、口腔咽喉薬、胃腸鎮痛鎮痙薬など)などが併用された場合、同じ成分や同じ働き方の成分の重複摂取となり、効き目が強すぎたり、副作用が起こりやすくなるおそれがあります。
一般の生活者においては、「鼻炎薬と蕁麻疹の薬などは影響し合わない」との誤った認識がなされることも考えられるので、登録販売者において適宜注意を促していくことが重要です。
また、「アレルギー用薬(鼻炎用内服薬を含む)」)と「鼻炎用点鼻薬」のように、内服薬と外用薬でも同じ作用を有する成分が重複することもあり、それらは相互に影響し合わないとの誤った認識にもと、併用されることのないよう注意が必要です。
受診勧奨

蕁麻疹や鼻炎などよるアレルギー症状に対する医薬品の使用は、基本的に対症療法です。
一般用医薬品のアレルギー用薬(鼻炎用内服薬を含む)は、一時的な症状の緩和に用いられるもので、長期連用は避け、5〜6日間使用しても症状の改善がみられない場合は、医師の診療を受けるなどの対応が必要です。
アレルギー症状を軽減するには、日常生活におけるアレルゲンの除去・回避(マスクや洗濯物を室内に干すなど)といった根本的な対応が図られることと、アレルゲンが何かを見極められることが重要です。
アレルゲンを厳密に特定するには医療機関における検査を必要とします。
その上で、アレルゲンに対して徐々に体を慣らしていく治療法(減感作療法など)もあります。

また、皮膚症状が治まると喘息が現れるというように、種々のアレルギー症状が連鎖的に現れることもあります。
このような場合、一般用医薬品によって一時的な対処を図るよりも、医療機関で総合的な診療を受けた方がよいでしょう。
また、一般用医薬品(漢方処方製剤を含む)には、アトピー性皮膚炎による慢性疾患などの治療に用いることを目的とするものはないことから、アトピー性皮膚炎が疑われる場合やその診断が確定している場合は、医師の受診を勧めることが重要です。

皮膚感染症(たむし、疥癬など)により、湿疹やかぶれなどに似た症状が現れることがあります。
その場合、アレルギー用薬によって一時的に痒みなどの緩和を図ることは不適当で、皮膚感染症そのものに対する対処を優先する必要があります。
医薬品が原因となってアレルギー症状を生じることもあり、使用中に症状がひどくなる場合には、医薬品の副作用である可能性を考慮し、その医薬品の服用を中止して、医療機関を受診するなどの対応が必要です。
特に、アレルギー用薬は一般的に使用目的となる症状(蕁麻疹しんなど)と副作用の症状(皮膚の発疹・発赤などの薬疹)が見分けにくいことがあり、登録販売者において適宜注意を促していくことが重要です。
鼻炎症状はかぜに伴って現れることも多いですが、高熱を伴っている場合には、かぜ以外のウイルス感染症やその他の重大な病気である可能性があり、医療機関を受診するなどの対応が必要です。

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