【分かりやすさNo.1】貧血用薬   登録販売者試験(改訂版)解説!

登録販売者試験解説
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貧血症状と鉄製剤の働き

貧血は、その原因により

  • ビタミン欠乏性貧血
  • 鉄欠乏性貧血

に分類され、一般的な症状として、疲労、動悸、息切れ、血色不良、頭痛、耳鳴り、めまい、微熱、皮膚や粘膜の蒼白 、下半身のむくみなどが現れます。

貧血用薬(鉄製剤)は鉄欠乏性貧血に対して不足している鉄分を補充することにより、造血機能を回復させる医薬品です。

鉄分は、赤血球が酸素を運搬する上で重要なヘモグロビンの産生に必要不可欠なミネラルです。

ヘモグロビン

鉄分の摂取不足を生じても、初期には貯蔵鉄(肝臓などに蓄えられている鉄)や血清鉄(ヘモグロビンを産生するために、貯蔵鉄が赤血球へと運ばれている状態)が減少するのみでヘモグロビンの量自体は変化しませんので、すぐに貧血の症状は現れません。

しかし、持続的に鉄が欠乏すると、ヘモグロビンが減少して貧血症状が現れます。

鉄欠乏状態を生じる要因としては

  • 日常の食事からの鉄分の摂取不足
  • 鉄の消化管からの吸収障害よる鉄の供給量の不足
  • 消化管出血

などが挙げられます。

また、体の成長が著しい年長乳児や幼児、月経血損失のある女性、鉄要求量の増加する妊婦・母乳を与える女性は、鉄欠乏状態を生じやすくなっています。

代表的な配合成分、主な副作用

鉄分

鉄分は、不足した鉄分を補うことを目的として配合されているもので、主な成分としては

  • フマル酸第一鉄
  • 溶性ピロリン酸第二鉄
  • 可溶性含糖酸化鉄
  • クエン酸鉄アンモニウム

などが用いられます。

なお、鉄製剤を服用すると便が黒くなることがあります。

これは使用の中止を要する副作用などの異常ではありませんが、鉄製剤の服用前から便が黒い場合は貧血の原因として消化管内で出血している場合もあるため、服用前の便の状況との対比が必要である。

鉄以外の金属成分

はヘモグロビンの産生過程で、鉄の代謝や輸送に重要な役割を持っています。

補充した鉄分を利用して「ヘモグロビンが産生されるのを助ける」目的で、硫酸銅が配合されている場合があります。

コバルトは赤血球ができる過程で必要不可欠なビタミンB12の構成成分であり、骨髄での造血機能を高める目的で、硫酸コバルトが配合されている場合があります。

マンガンは、糖質・脂質・タンパク質の代謝をする際に働く酵素の構成物質で、エネルギー合成を促進する目的で、硫酸マンガンが配合されている場合があります。

ビタミン

  • 貧血を改善するため、ヘモグロビン産生に必要なビタミンB6
  • 正常な赤血球の形成に働くビタミンB12や葉酸
  • 消化管内で鉄の吸収を助ける働きがあるビタミンC(アスコルビン酸)

などが配合されている場合があります。

主な副作用

貧血用薬(鉄製剤)の主な副作用として「悪心(吐きけ)、嘔吐、食欲不振、胃部不快感、腹痛、便秘、下痢」などの胃腸障害が知られています。

鉄分の吸収は空腹時のほうが高いとされていますが、消化器系への副作用を軽減するには、食後に服用することが望ましいと言えます。

胃へ の負担を軽減するため、胃では溶けずに腸で溶ける製品もあります。

相互作用

複数の貧血用薬と併用すると、鉄分の過剰摂取となり、胃腸障害や便秘等の副作用が起こりやすくなります。

服用の前後30分にタンニン酸を含む飲食物(緑茶、紅茶、コーヒー、ワイン、柿など)を摂
取すると、タンニン酸と反応して鉄の吸収が悪くなることがあるので、服用前後はそれらの摂取を控えることとされています。

☝️タンニンとは渋み成分です。

医師の治療を受けている人では、鉄分の吸収に影響を及ぼす薬剤が処方されている場合があるので、使用する前にその適否につき、治療を行っている医師又は処方薬の調剤を行った薬剤師に相談がなされるべきです。

受診勧奨

貧血のうち鉄製剤で改善できるのは、鉄欠乏性貧血のみです。

特段の基礎疾患などがなく鉄分の欠乏を生じる主な要因としては、食事の偏り(鉄分の摂取不足)が考えられ、 貧血用薬(鉄製剤)の使用による対処と併せて、食生活の改善が図られることが重要です。

なお、貧血の症状がみられる以前から予防的に貧血用薬を使用することは適当ではありません。

食生活を改善し、かつ鉄製剤の使用を2週間程度続けても症状の改善がみられない場合には

  • 月経過多
  • 消化管出血
  • 子宮筋腫

などの出血性の疾患による慢性的な血液の損失が原因で貧血症状が起きている可能性があります。

これらの場合、基礎疾患の治療が優先されるべきであり、一般用医薬品による対処を漫然と継続することは適当ではありません。

また、鉄欠乏性貧血以外の貧血により症状が現れていることも疑われ、鉄製剤によって対処すること自体が適当でない可能性もあります。

いずれの場合も、登録販売者においては、 購入者などに対して、貧血用薬の使用を漫然と継続せずに医療機関を受診するよう促 すべきです。

商品例「ファイチ」

ファイチ」ブランドサイト

マスチゲン錠

「マスチゲン錠」ブランドサイト

まとめ

いかがでしょうか。

今回は登録販売者試験 第3章「貧血用薬」についてまとめました。

若い女性を中心に貧血にお悩みの方は多くいます。

ですが、登録販売者としては、今回の解説記事の内容にあるように、先ずは「本当に鉄欠乏性貧血なのか?」をお客様との会話から見極めることが大切です。

登録販売者試験受験生の方も、合格後の実務で適切な対応がとれるようにしっかりと覚えておいてくださいね♪


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