骨粗鬆症
中高年(特に女性)になると気になるのが骨粗鬆症です。
健康診断で骨密度を調べれば自分の骨が丈夫かどうかがすぐに分かりますよね。
「でも骨密度が低いと具体的にどうなるの?」
「骨粗鬆症になると骨折しやすくなるんでしょう?」
「骨粗鬆症を予防するにはどうしたら良いの?」
など案外、具体的に骨粗鬆症のことをよく知らない人も多いはず。
そこで今回は骨粗鬆症についてお伝えします。
骨粗鬆症は高齢者の増加に伴って増えています。
登録販売者として、いつでもお客様に適切なアドバイスができるように覚えておきましょう!
骨粗鬆症とは
骨粗鬆症とは骨密度が下がって骨にスカスカになる病気です。
骨粗鬆症が進行すると骨が乾燥したヘチマやスポンジ、麩菓子のような状態になります。
その状態ではちょっとして刺激でも骨が折れる可能性がありますので、早めの改善が必要です。
骨粗鬆症になる原因は?
骨粗鬆症になる原因はいくつかありますが一般的な原因は
- カルシウム摂取量が不足している
- 運動不足
- あまり日光に浴びていない
- 女性ホルモンの減少
- 過度なダイエット
などがあげられます。
カルシウム摂取量不足
人間は血液中のカルシウムの量を常に一定に保つ働きがあります。
そのため食事から摂取されるカルシウムが不足すると骨を分解してそこからカルシウムを血液中に取り入れます。
言わば、骨はカルシウムの貯蔵庫の役割もしていると言えます。
ただ、カルシウム摂取量不足が長く続くとやがて骨粗鬆症を引き起こす場合があります。

[引用]厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2015年版)」
運動不足
実は骨はカルシウムを摂取するだけでは丈夫になりません。
私たちの骨は衝撃を加えないと強くならないのです。
宇宙飛行士は宇宙にいる間、無重力状態でいるので骨に衝撃が加わらないために骨が脆くなります。
また寝たきりのお年寄りと同様に骨に衝撃が、加わらないので骨粗鬆症になりやすいと言われています。
あまり日光に浴びない
昼夜逆転のお仕事をしている方や、日中はビルの中や地下で働いていて仕事が終わるのが暗くなってからというひとはあまり日光に浴びることがありません。
人間は日光に浴びると皮膚の下でカルシウムの吸収を促進するビタミンDが作られます。
長い間、日光を浴びない生活が続くとビタミンD不足から骨粗鬆症を引き起こす原因になることがあります。
ちなみに北欧の人々が、日照時間の短い時期に日光浴をしているのはそのためです。
骨を元気にする習慣―日光浴をしよう! ~骨の健康に欠かせないビタミンDの力
[引用]いいほね.jp
女性ホルモンの減少
私達の骨は毎日新しく生まれ変わっています。(新陳代謝)
女性ホルモンは骨を壊す破骨細胞の働きをコントロールする働きがありますが閉経後の女性は急激に女性ホルモンの分泌量が減ってします。
見張り役の女性ホルモンがいなくなった破骨細胞が必要以上に骨を壊してしまうので閉経後の女性は骨粗鬆症になりやすくなります。
ちなみに男性が女性に比べて骨粗鬆症になりにくいのは、女性ホルモンの分泌量が生涯に渡ってあまり変化しないためです。
過度なダイエット
若い女性の中にはモデルさんのようなまた体型に憧れて、一日一食しか食べないなどの過度なダイエットをする人がいます。
骨量は20歳代で最大になるのですが、この時期に骨量が十分な量に達していないと、閉経後の早い時期に骨粗しょう症を起こしやすいことがわかっています。
つまり若い頃の過度なダイエットは将来の骨粗鬆症のリスクを高めてしまうのです。
寝たきりの原因の第3位

厚生労働省の調査では、寝たきり(要介護5)になる原因の1位は脳卒中、2位が認知症、転倒による骨折が3位というデータが公表されています。
下半身の骨折、特に鼠蹊部の骨折はその危険性が最も高いと言われています。
また高齢者は新陳代謝が衰えているので、骨折すると治るのに時間がかかりますが、骨折が治るまでの間は安静にしていないといけないので、しばらくはベッドの上で寝て過ごします。

筋肉は使わないと落ちてしまうので、長い間、寝たきりで過ごしているうちに下半身の筋肉が衰えてしまい、いざ骨折が治っても歩けなくなってしまい、そのまま寝たきりになってしまうケースも珍しくありません。
手首の骨折

高齢者は下半身の筋力の衰えから、歩いている時によくつまづくと言われています。
その時に転ばないように咄嗟に手を出しますが、そうすることで手首に全体重がかかり、手首を骨折していまいます。
手首を骨折すると物を持ちづらくなるので料理や洗濯などの家事がしにくくなるなど何かと不便になります
骨粗鬆症の治療
骨粗鬆症治療薬は、破骨細胞と骨芽細胞の働きのバランスを整えます。
現在、次の3つのタイプがあります。
- 骨を壊す働きを抑える薬
- 骨を作る働きを高める薬
- 骨の作り替えのバランスを整える薬
多くの薬の中から患者さんの骨折の危険性や年齢、ライフスタイルなどに合わせて選択します。
骨粗しょう症の薬による治療 効果と副作用、治療期間、注射等のタイプ
[引用]NHK健康ch
骨粗鬆症対策
カルシウムの摂取

骨の主な材料と言えばカルシウムです。
私達の骨はコラーゲンにカルシウムがくっついて固まって出来ています。
なので、先ずはカルシウムを意識して摂りましょう。
食品中でカルシウムの吸収率が最も良い牛乳や牛乳を発酵させて作ったヨーグルトやチーズもおすすめです。
また豆腐や納豆、厚揚げなどの大豆製品、小松菜、水菜、切り干し大根などの野菜、ひじき、ししゃも、桜エビなど丸ごと食べられる小魚も良いでしょう。
食品のカルシウム吸収率
- 乳製品 50%
- 小魚・海藻 30%
- 野菜 18%
- 大豆製品 18%
ビタミンD

体内でのカルシウムの利用効率を高めるビタミンDも摂りましょう。
ビタミンDを多く含む食品は魚(イワシ、さんま、鮭)きのこ(きくらげ、干ししいたけ)などがあります。
またビタミンDは日光を浴びると体内で合成されるので天気の良い日は散歩をしたり、歩くのが困難な方は日当たりの良い部屋で日光浴をしましょう。
ビタミンK
ビタミンKは骨にカルシウムを沈着させるために必要なタンパク質を活性化したり、カルシウムが尿中に排泄されるのを抑えて骨の破壊を防ぎます。

マグネシウム
マグネシウムは骨を形成する骨芽細胞に働きかけて、骨の中にはいるカルシウムの量を調節します
骨密度増加や骨折予防効果が高くカルシウムとマグネシウムは2:1の割合で摂る必要があります。

イソフラボン
イソフラボンは女性ホルモンの一つであるエストロゲンと化学式が非常に似ています
そのためエストロゲンと同じ様に骨を壊す破骨細胞の働きを抑制する作用があることが分かっています。
運動による衝撃をくわえる
骨はカルシウムを摂取するだけでは丈夫な強気骨にはなりません。
衝撃を加えないと密度が上がらないので強くならないからです。
よくお茶やインスタントコーヒーの詰め替え用を容器に移しかえる時、いっぱいまで入っていても容器の底をトントンと軽く叩くと全て容器に入ります。
あれは軽く叩くことでお茶やコーヒーの隙間がなくなる=密度が上がるので全て入るからです。
私達の骨もそれと同じで衝撃が加わると隙間が詰まることで密度が上がり、強くなります。
また平らな道を歩くよりも、階段の上り下りや坂道などの高低差のある道を歩く方が、骨への衝撃が強いのでより効果があります。
また膝や腰を痛めて歩けない方でも出来る運動としては
- 片足立ち
- しこふみ
- かかと落とし
- 片足立ち&かかと落とし
などがあります。
骨粗鬆症予防のためには毎日コツコツ続けることをおすすめします。
[引用]NHK健康ch
リンは避ける
インスタント食品や肉類に多く含まれる「リン」はカルシウムの吸収を阻害します
もし骨粗鬆症と診断されたらなるべくインスタント食品は控えましょう
まとめ
今回は「登録販売者としては知っておきたい骨粗鬆症」についてお伝えしました。
骨粗鬆症の患者さんは高齢化ともに年々増えています。
登録販売者としては、お客様が骨粗鬆症にならないようにアドバイス出来るように努めましょう。
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