コロナ禍で売れたものとは?
【口紅、鎮暈剤、総合感冒薬など化粧品、市販薬中心に行動変化が背景】
株式会社インテージ(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:檜垣 歩、以下インテージ)は、全国約4,000店舗より収集している小売店販売データ、SRI®(全国小売店パネル調査)をもとに、コロナで揺れた今年、日用消費財の販売にどのような変化が生じ、苦戦したカテゴリーがあったかを推定販売金額から振り返る「2020年、今年販売苦戦したランキング」を発表しました。(データは10月分まで使用)
【関連:コロナで激変 「2020年、今年売れたものランキング」(12月7日に公開されています)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000109.000036691.html
ポイント
- 新型コロナによる行動、生活の変化が直撃。外出や旅行の自粛、マスク着用、衛生意識など影響
- 1位・口紅は約半減。化粧品は10位までに5つランクイン
- 2位・鎮暈剤(酔い止め薬など)は移動、旅行の自粛が影響。インバウンドの減少で苦戦の市販薬も
- 9位・総合感冒薬は、コロナ対策により風邪の減少が要因に
- ステイホーム、在宅勤務などの影響は食品、飲料、雑貨などでも

1位・口紅など、化粧品は10位までに5カテゴリーがランクイン
新型コロナの影響でマスクや殺菌消毒剤、体温計など大きく販売金額が伸びたカテゴリーがある一方、ニューノーマルとも言われる行動様式の変化によって、販売で苦戦したものもあります。
旅行の自粛や外出機会の減少、マスクの着用に手洗い・うがいの徹底、在宅勤務の奨励など、さまざまな要素が影響したランキングを紹介します。
1位の口紅は、販売金額が前年比44%と半分以下になりました。
マスクをすることにより、口紅をつけないという人も増え、コロナ禍を代表するカテゴリーにあげられることもありましたが、マスクにつきにくい口紅の開発などメーカーも対応をしています。
他にも化粧品では苦しんだカテゴリーが見られました。
4位・ほほべに(66%)
5位ファンデーション(68%)
6位・化粧下地(72%)
7位・おしろい(79%)
と10位までに5つがランクイン。
マスクに加え、4月に発令された緊急事態宣言や在宅勤務奨励のように外出機会が減少し、化粧自体をすることが減ったことも要因のようです。
一方で化粧品の中でも比較的売り上げが落ちなかったのが基礎化粧品です(図表2)。
苦境の中でも全体で90%をキープし、クレンジングは92%、洗顔クリームに関しては100%となっています。
また眉目料(眉や目周りに使われるメークアップ化粧品の総称)は全体で88%で、アイブロウやマスカラなどは90%でした。
マスクをして口元は隠れても、出ている部分については、メークをしたいという人が多いようです。

2位・鎮暈剤は移動や旅行の自粛が打撃に。インバウンド減少で苦戦のカテゴリーも
市販薬のカテゴリーでも大きな変化が生まれていました。
2位の鎮暈剤(ちんうんざい)はめまいなどの症状を抑える薬で、酔い止めなどが入りますが、こちらも前年比54%でした。
特に非常事態宣言と、本来多くの人が旅行などに行くゴールデンウィークが重なった4月後半から5月上旬に関しては、前年の2割にも満たない週もありました。
夏以降は感染が一段落し、Go Toトラベルなどの施策も打たれて、ある程度は回復する時期もありましたが、全体としては前年の半分程度の水準となっています(図表3)。
コロナの影響で海外との行き来が激減し、来日する観光客も大幅に減少したことが苦戦の要因となっているカテゴリーが多いのも市販薬の特徴です。
3位・強心剤
8位・鎮咳去痰剤(ちんがいきょたんざい・咳をしずめて痰を出しやすくする薬)
10位・ビタミンB1剤
24位・目薬
なども、海外からの旅行者がお土産に買っていくなどインバウンド熱も高かっただけに、影響を受けたと言えます。
国内外の移動、旅行の減少が周辺の分野にも大きな影響を与えることが、あらためて浮き彫りになりました。

9位・総合感冒薬は、感染症予防の徹底の影響も。インフルエンザも異例の低水準
今年は風邪をひく人が少ないなどと報道されることも多かったですが、それを裏付けするように9位・総合感冒薬は79%の販売金額となりました。
年代別で見てもすべての年代で購入率が下がっていることも分かります(図表4)。
マスクの着用や手洗い・うがいの徹底、3密の回避などのコロナ対策は、そのまま他の感染症予防対策にもなり、今年はインフルエンザの患者数も異例の低水準にとどまっています。
今年、売れたものランキングではマスク、殺菌消毒剤、体温計、うがい薬、ぬれティシュなどの衛生系のカテゴリーが上位を独占していましたが、世相を反映した結果と言えます。
図表4

外出機会の減少、在宅勤務などで、幅広いカテゴリーで変化が
お菓子類の中では
11位・チューインガム(82%)
28位・キャラメル(91%)
29位・キャンディ(91%)
なども苦戦となりました。
移動中や外出先、オフィスで、ちょっと口に入れてというイメージもありますが、在宅勤務や移動の減少で減ったことが推察されます。
14位のミニドリンク剤(85%)も都市部のオフィス街での売り上げが落ちたというデータもあり、ワークスタイルの変化が影響しているようです。
12位・コンタクト用剤(83%)
18位・制汗剤(88%)
19位・スポーツドリンク(88%)
21位・使い捨てカイロ(89%)
23位・外用鎮痛消炎剤(89%)
なども外出の減少や、スポーツやレジャーの機会が減ったことが理由に挙げられそうです。
激動だった2020年。
世界的規模の感染症で、人々の生活や行動も大きく変わりました。
日本でも冬に向けて感染拡大が心配される一方で、世界ではワクチンの開発など明るいニュースも出てきています。
これによりある程度元通りの生活に戻るようなら、販売で苦戦したカテゴリーでも需要が急回復することも期待できます。
そうでなくてもマスクにつきにくい口紅など、withコロナと言われる時代に対応した新商品がどんどん開発されることにより、新たな需要を生み出す可能性もあります。
来年はどのような年になるのか、年末に今年と同じように購買・購入データから世の中の変化を見ていく予定です。
コロナで激変「2020年、今年売れたものランキング」をあわせてご参照ください。
https://www.intage.co.jp/gallery/2020ranking/
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