風邪(風邪症候群)は鼻や喉などの上気道性急性炎症であり、 原因と言われるウイルスは200種類以上あると言われています
主な症状は、のどの痛み、咳、鼻水、鼻づまり、たん、発熱等で、これらの症状を抑える為に様々な薬が販売されていますが、その中に数種類の漢方薬も並んでいます
しかし、風邪に使われる漢方薬と言ってもどの漢方薬がおすすめなのかすぐに思い浮かばない人も多いのではないでしょうか?
そこで今回は登録販売者試験にも頻出の風邪の時に使用する代表的な漢方薬を簡単に解説していきます。
風邪に効く漢方薬はどれ?
麻黄湯

構成生薬
- 麻黄(マオウ)
- 桂皮(ケイヒ)
- 甘草(カンゾウ)
- 杏仁(キョウニン)
おすすめの風邪タイプ
体力が充実している方で、風邪の初期(悪寒で汗をかいておらず、強い発熱、ひどい関節痛や頭痛を伴うもの)
副作用
生薬関連の重篤副作用は試験に頻出であり、販売時の情報提供でも必須の知識です。覚えておきましょう
甘草:手足のだるさ、しびれ、つっぱり感やこわばり、脱力感、徐々に強くなる筋肉痛等(偽アルドステロン症、ミオパチー)
また、麻黄の成分「エフェドリン」は交感神経を刺激します
つまり、高血圧、心臓病、腎臓病、甲状腺機能障害の診断を受けている方には注意が必要です
葛根湯

構成生薬
- 葛根(カッコン)
- 麻黄(マオウ)
- 桂皮(ケイヒ)
- 芍薬(シャクヤク)
- 生姜(ショウキョウ)
- 大棗(タイソウ)
- 甘草(カンゾウ)
おすすめの風邪タイプ
体力中等度以上の方で、風邪の初期(寒気で汗をかいておらず、鼻の症状、頭痛や肩こり、筋肉痛を伴うもの)
副作用
甘草と麻黄が含まれていますので、最低限覚えておくべきことは麻黄湯と同じです
ただし、麻黄湯よりも購入者が多い為、しっかりと購入者の体質や基礎疾患を伺った上で販売することが重要です
桂枝湯

構成生薬
- 桂皮(ケイヒ)
- 芍藥(シャクヤク)
- 生姜(ショウキョウ)
- 大棗(タイソウ)
- 甘草(カンゾウ)
おすすめの風邪タイプ
体力がない/弱い方の風邪の初期(汗が出るもの)
副作用
この生薬にも甘草が入っています
甘草湯

構成生薬
- 甘草(カンゾウ)
おすすめの風邪タイプ
喉の痛みや声がれなど、喉の症状全般
副作用
甘草が配合されていますので「偽アルドステロン症、ミオパチー」に注意です
甘草と言えばこの副作用という感じで覚えてしまうと良いと思います
銀翹散

構成生薬
- 薄荷(ハッカ)
- 牛蒡子 (ゴボシ)
- 淡豆鼓 (タンズシ)
- 金銀花 (キンギンカ)
- 連翹 (レンギョウ)
- 淡竹葉 (タンチクヨウ)
- 羚羊角 (レイヨウカク)
- 荊芥 (ケイガイ)
- 桔梗 (キキョウ)
- 甘草 (カンゾウ)
おすすめの風邪タイプ
発熱や熱感が強く、頭痛や喉の痛み、喉の渇きを伴うもの
副作用
重篤副作用の「偽アルドステロン症、ミオパチー」の症状は覚えましたか?
麦門冬湯

構成生薬
- 麦門冬(バクモンドウ)
- 半夏(ハンゲ)
- 人参(ニンジン)
- 粳米(コウベイ)
- 大棗(タイソウ)
- 甘草(カンゾウ)
おすすめの風邪タイプ
喉が乾燥しており、咳をしても痰がきれにくく、喉にからむもの
副作用
甘草の「偽アルドステロン症、ミオパチー」は忘れないように
また、麦門冬湯には半夏が含まれています
半夏には「間質性肺炎」を引き起こす可能性が示唆されています
甘草の副作用よりは注目度は低いですが覚えておきましょう
小青竜湯

構成生薬
- 半夏(ハンゲ)
- 甘草(カンゾウ)
- 桂皮(ケイヒ)
- 五味子(ゴミシ)
- 細辛(サイシン)
- 芍薬(シャクヤク)
- 麻黄(マオウ)
- 乾姜(カンキョウ)
おすすめの風邪タイプ
体力中等度、またはやや虚弱の方で、水っぽい痰や鼻水があり、せきや鼻水が出る症状
副作用
この生薬にも甘草、麻黄が配合されています
偽アルドステロン症、ミオパチーの副作用と高血圧等だと診断された方には注意が必要です
また、「間質性肺炎」も頭に入れておきましょう
麻黄附子細辛湯

構成生薬
- 麻黄(マオウ)
- 細辛(サイシン)
- 附子末(ブシマツ)
おすすめの風邪タイプ
体力が比較的ない年配の人、女性などで、特に手足の冷えや悪寒が強いもの
麻黄(マオウ)、細辛(サイシン)、附子末(ブシマツ)の3種類は身体を温めることに適しています
注意点
麻黄配合なので、高血圧、心臓病、腎臓病、甲状腺機能障害の診断を受けている方は注意です
一度かかりつけの先生に相談するようお話すると良いと思います
また附子末(ブシマツ)の成分、アコニチンによる唇や舌、手足のしびれ、吐気・嘔吐、動悸に注意しましょう
まとめ
今回は風邪の様々な症状に有効な漢方薬をご紹介しました
漢方薬は比較的安全だというイメージがあり、様々な基礎疾患を抱えているお客様が購入にいらっしゃることが多いです
登録販売者としては、ただ販売するだけでなく、副作用や注意点、医師に相談したほうが良い場合などもしっかりと把握しておきましょう
また主な風邪症状と漢方薬の組み合わせ(麦門冬湯―空咳、小青竜湯―鼻水等)は試験にもでる可能性があるので覚えておきましょう
またこのブログのカテゴリー登録販売者試験対策が少しでも受験生のみなさんのお役に立てれば幸いです。
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