配置薬に従事している私はいつもお客様を訪問したら何かしらのお土産をもって行くように心がけています。
「お土産?」
「サンプルをあげるの?」
「期限が切れそうなドリンクとか?」
などを想像する人もいるかも知れませんが、そうではありません。
お土産をもっていく
新人の頃に先輩に教わったこと

この「お客様にお土産をもって行く」というのは、遠い昔、私がまだ新人の頃に先輩に教わったことです。
「お客様のところに行ったら必ず『お土産』を置いてこい」
「お土産ですか?ドリンクのサンプルとかを持っていくんですか?」
「違うよ。お客様にとって“役に立つ情報”を届けるんだよ」
「役に立つ情報ですか?」
「そうだよ。ドリンクのサンプルをあげたら確かに喜ばれるかもしれない。でも毎回あげてたらそのうち感謝されなくなるだろう」
「そうですね〜」
「それって担当が変わった時に後任がすごく迷惑するんだよ。『前の人はいつもドリンクくれたんだけど、あなたは何も持ってこないの?』って当然のように言われるからな」
「確かにそうですね〜」
「それよりもお客様に『教えてくれてありがとう!』「ら良いこと聞いたわ!』と言われるような情報の方がよっぽど感謝されるんだよ。だから毎回、手ぶらで行かないでお客様の役に立つ情報を仕入れて持っていくんだよ」
「分かりました!」
その先輩は営業成績も良い人で、しばらくすると所長に昇進していきました。
ネタ集め
そんなこともあって私はいつもお客様が
「へぇー、そうなんだ〜!」
「知らなかったよ〜」
と言われるようなネタを探す癖がついてきました。
例えば、テレビを見ていて気になるニュースがあれば、すぐにメモをとったりしていました。

そしてそれをなるべく早くお客様の前で話していました。
それは何度かお客様に話すことで、記憶が定着するからです。
また、お客様とって分かりやすい表現方法なども分かるからです。
そんなネタはどんどん蓄積されていきます。
そうなると、初めの頃は必死にネタ探しをしていたのが徐々にそんなにネタ探しをしなくてもよくなってきました。
お客様の反応

そんな風にいつもお土産を置いていくように意識しながら廻っているとお客様から
「前の人はお金払ったらすぐに帰って行ったわよ。あなたみたいに色々教えてくれる人は初めてだわ」
「あなたはよく勉強してるわね〜」
「あなたはお医者さんみたいだね」
と度々言われるようになりました。
またお客様に
「今度〇〇さん(私のこと)が来たら聞こうと思ってたんだけど〜」
と言われることもありました。
そして同じ地域を数年間廻っていくうちにそれが当たり前になってくるせいか、そのうちにそんな事を言われなくなっていきます。
担当する地域が変わるたびにその繰り返しでした。
自分にとっても良かった

こんなことを意識していたお陰で、私は薬や体、健康、病気などに関する知識がどんどん増えていきました。
それは自分にとってもとても良いことでした。
もし毎日、ただ何となく廻っていたらそれほど知識も増えなかったと思っています。
ですが、様々なネタ探しのために知識が増えたことで体や病気に関することなら何を聞かれてもだいたい答えられる自信もつきました。
いつもアンテナを張ってネタ探しをしていて本当に良かったと思いますし先輩に感謝しています。
昔の置き薬屋さんもこんな感じだったらしい

以前、置き薬のことを調べていたらこんな風に書いてありました。
遠い昔、まだテレビやラジオも普及していない頃は富山の薬屋さんが来るのを楽しみにしているお客様が多かったそうです。
それは全国を廻っている富山の薬屋さんから色々な話を聞けたからだそうです。
もちろん、会話の内容は雑談がほとんどだったと思います。
ですが、お薬の入れ替えの際には
「これは〇〇にも効きますよ」
「このお薬はお湯に溶いて服むと良く効きます」
「体にとって1番良くないのは疲れを溜め込むことです。疲れが溜まると〜」
「便秘を放っておくと〜」
などとお話をしていたんだと思います。
それはつまり私が先輩に言われたお土産を置いていくようなものなのだと思いました。
まとめ
いかがでしょうか。
今回は「お客様にお土産を置いていく」についてお話をしました。
結局、私が先輩に言われて意識していたことは昔の富山の薬屋さんが普通にしていたことなんですね。
今はインターネットもスマホも普及している時代です。
欲しい情報は検索すれば何でもすぐに手に入れられます。
それでも私は
「お客様のところに手ぶらで訪問せずに何かお土産を持っていく」
ことを続けています
なぜなら、それが置き薬屋さんとして体に染み付いているからです。
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